2015 Fiscal Year Research-status Report
高熱伝導率及び低熱膨張係数を有する新型ヒートシンク材の開発
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15K14173
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 清仁 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (20151368)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒートシンク / 熱膨張係数 / 熱伝導率 / Cu合金 / ステンレスインバー合金 / 2相分離 / ハイブリッド組織 / パワー半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
パワー半導体などで発生する熱を放散させるための放熱板(ヒートシンク材)は、基板との熱膨張係数差が小さくかつ熱伝導率の高い材料が求められる。そこで導電性の高いCu合金と熱膨張係数の小さいステンレスインバー合金(Fe-Co-Cr系)とのハイブリッド組織を形成し、両特性を満足させるための新しいヒートシンク材の製造法の開発に挑戦する。CuはFe,Co,Crいずれの系とも液相で2相分離を生ずるのでCu-Fe-Co-Cr系合金粉末は外側がCuリッチ、中心部がFe-Co-Cr合金の卵型粉末の形成が期待される。実際にCux(Fe0.37Co0.54Cr0.09)100-x(x=30,40,60,70)の合金粉末を作製した。 その結果、次のことがわかった。 1.x=30の試料では予想通り外側がCuリッチ、中心部がFe-Co-Cr合金の卵型粉末が得られた。またその他のx=30,40,70の合金粉末はCuリッチ相とFe-Co-Crリッチ相との分散組織が得られた。 2.これらのハイブリッド合金粉末を焼結し、一部の試料については熱膨張係数と熱伝導率の測定を開始した。その結果、熱膨張係数はCuの比率が高いほど大きくなることが確認された。 3.熱伝導率は、焼結前の試料より焼結後の試料のほうが高くなることが確認された。 今後すべての試料について熱膨張係数と熱伝導率を測定し焼結や熱処理条件の影響も含め測定するとともに既存のCu-WやCu-Mo系ヒートシンク材との特性比較を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ほぼ順調に研究が進展している。卵型粉末のみならずCuリッチ相とFe-Co-Crリッチ相との分散組織が広い組成で得られたことは予想外であるが、これらの特徴的な組織の特性評価も興味がある。また焼結の有無によって特性が変化することを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
卵型粉末組織だけでなく分散組織についても熱膨張係数と熱伝導率を測定する予定である。また焼結の有無が特性に影響を与えることがわかったので、焼結条件およびその後の熱処理条件によって両特性がどのように変化するかを測定する。これらのデータに基づき最適な焼結および熱処理条件を確立する。
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Research Products
(2 results)