2015 Fiscal Year Research-status Report
四ホウ酸ストロンチウムの双晶形成機構の解明と真空紫外レーザー光源の開発
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15K14174
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前田 健作 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40634564)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 双晶境界 / ホウ酸塩結晶 / 分極反転 / 擬似位相整合 / 結晶成長 / 固液界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は四ホウ酸ストロンチウム(SrB4O7)の単結晶育成の準備と、本結晶と似た特性を有する四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)の双晶形成機構の解明を進めた。 四ホウ酸リチウム単結晶を種子結晶として用い、マイクロ引き下げ法により結晶成長させることで、成長した結晶中に双晶を形成させることができた。種子結晶からc軸方向へ成長した領域における結晶方位は、種子結晶と同じであった。しかし、c軸から傾斜した方向へ成長した領域では、種子結晶の結晶方位から反転した方位関係の結晶粒が多数形成された。結果として、この領域に多数の双晶界面を含有する結晶が成長されることが分かった。 真空紫外レーザー光源を実現するには双晶界面間隔を調整した周期双晶が必要である。双晶界面間隔の調整方法の開発は次年度に取り組む計画であるが、その前に適度な数の双晶を持つ周期双晶を用意しなければならない。本年度は、前述のように双晶が形成されやすい結晶成長方向が分かったので、これを利用して双晶形成頻度(単位体積あたりに形成される双晶の数)の制御を試みた。c軸方向に伸長した単結晶を種子結晶として用いてc軸方向へ成長させると成長した結晶の外周部に多数の双晶が形成される。同じ結晶方位の種子結晶を30°まで傾斜させて結晶成長させることで、双晶形成を抑制することができた。 また、双晶界面の面方位を制御するために結晶成長方位と双晶界面方位の関係を調査した。白金線ヒーターを用いて局所的に結晶を融解することで、連続的に結晶方位を変化させた固液界面を作ることができる。更に、白金線ヒーターを傾斜させることで、任意の結晶方位を持つ固液界面を作ることも可能になった。本研究では立体的に結晶成長方位を変化させ、双晶界面方位の結晶成長方位依存性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は四ホウ酸ストロンチウムの単結晶育成の準備を進めたが、光学結晶として使用可能な品質の単結晶は未だ完成していない。その代わりに、本結晶と似た特性を有する四ホウ酸リチウムにおいて双晶界面形成に関する成果を計画以上に得ることができた。これは、次年度に取り組む四ホウ酸ストロンチウムの周期双晶作製技術の開発に有用であり、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、初めに「四ホウ酸リチウムの周期双晶作製技術の開発」と「四ホウ酸ストロンチウムの単結晶育成」に取り組む。次に、四ホウ酸リチウムにおける手法を応用して「四ホウ酸ストロンチウムの周期双晶作製技術の開発」に進む。最後に、両方の周期双晶において「擬似位相整合結晶としての波長変換特性の評価」を行う。
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Causes of Carryover |
本研究の遂行には、微細組織をもつ周期双晶の作製が必要である。 当初は、極微細な移動が可能なピエゾ式自動ステージを購入して双晶界面間隔の微細化に取り組む計画であった。しかし、本研究を進めることで、革新的に微細化を進める方法を考案したので、装置購入を保留した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度の成果から、種子結晶の表面を微細加工して、微細な組織を持つ周期双晶結晶を成長する方法を考案した。これを実現するためのデバイスや試料ステージ支持治具を用意して、独自に実験装置を設計製造する。このために、前年度のピエゾ式自動ステージの予算を充てる。
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