2016 Fiscal Year Annual Research Report
Thin film formation of refractory metals using mist CVD method
Project/Area Number |
15K14181
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池之上 卓己 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (00633538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 正男 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (60361648)
平藤 哲司 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (70208833)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミストCVD法 / リフラクトリーメタル / モリブデン / タングステン |
Outline of Annual Research Achievements |
高融点、高硬度であるため難加工性の材料であるモリブデン(Mo)やタングステン(W)などのリフラクトリーメタルのミストCVD法による成膜を目指し、研究を遂行した。まず、前駆体材料を選定した。ビス(2,4-ペンタンジオナト)モリブデンジオキシドやモリブデン酸ナトリウムなどの前駆体では、既に金属原子が酸素との結合を有しているため、最終的に酸化物しか得られないことが分かった。そこで、前駆体材料を塩化モリブデン(V)または塩化タングステン(VI)とし、溶媒にアセトニトリルを用いることで、酸素ポテンシャルの低減を実現した。これらの溶液を用いて成膜することで、炭化モリブデン(Mo2C)や炭化タングステン(WC)の膜を得た。 次に、成膜結果について、熱力学的な考察を試みた。酸素ポテンシャルが十分に低いとおおよそ650度でMo2CやWCの安定領域が存在することが自由エネルギー計算の結果明らかとなった。この温度はミストCVD法で炭化物が得られる温度と一致しており、反応の平衡状態を説明できると考えられる。 さらに、この結果からは、1000度以上で金属単体の安定領域の存在が示され、Mo単体やW単体膜の成膜可能性が示唆された。MoやW単体膜の実現へ向け1000度での成膜を行ったが、いずれの場合も金属単体膜は得られなかった。装置構成上の上限温度であったため、さらに高温での検討も成膜の可能性がある。しかし、膜全体に炭素(グラファイト)が多く含まれていたことから、酸素ポテンシャルの低下に加え、主に溶媒の熱分解が加速されたことにより炭素ポテンシャルが増加し、Boudouard平衡に達していたものと考えられる。すなわち、炭素ポテンシャルの制御も重要であることが明らかとなった。 本研究では、目的としたMo、W単体の膜を得ることはできなかったが、ミストCVD法により初めて炭化物の成膜を実現した。
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Research Products
(1 results)