2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14187
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
宮本 潤示 大同大学, 工学部, 講師 (50713046)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プラズマ窒化処理 / 微小隙間内面 / 化合物層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では微小隙間内面に窒化処理を行うことができる新しい窒化処理法を開発することが目的である. 研究初年度の2015年度では,大きく分けて以下の2つの成果を得た. 1.新しい処理法を行うにあたり,これまでにない新しい処理装置を独自に設計,構築した.被処理物を加熱することができるように加熱装置を設置,さらにプラズマを生成しつつ,被処理物に流入する電子を抑制するための電極を設置した.被処理物は従来の直流グロー放電による窒化処理では陰極として使用されるが,本研究ではこれとは発想が異なり,被処理物を電極とせず電位を浮かせた状態とした.また,今後のフェーズでうまくいかない場合も想定し,多くのポートを備え,窒素イオン制御用の電極も設置可能とした. 2.新しく構築した装置を用いてプラズマを生成し,その分析を行った.新しく構築した装置を用いて理論どおりにプラズマを発生することができることを明らかにした.今後の研究ではより高真空中での処理が必要となることが考えられるので,高真空(1Pa以下)においてもプラズマが生成できるよう考慮する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を行うにあたり,新しい処理装置の構築は必須事項である.本研究で計画した装置の特徴は被処理物がプラズマ生成用の電極になっておらず,被処理物の電位を独立して制御でき,かつプラズマ中のイオン,電子などを制御可能とするものである.また,プラズマ窒化を行うにあたり,被処理物の温度の管理が必須であることから被処理物を加熱できるようにしなければならない.この新しい発想の装置を今後の研究計画を踏まえて構築することができた.本実験装置を用いてプラズマを生成し,現時点でその特徴を明らかとした.プラズマを発生させる電圧は,処理圧力と電極間の距離に依存することが一般的だが,本装置においてもこれは例外ではなく,高真空下における直流グロー放電では大電圧が必要となってしまう.このため今後はさらに改良を加えた後,次のフェーズに移る予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策は大きく変更は無い.今後の研究では,まずフェーズ3に移る前に高真空中でプラズマを発生できるように改良を行う.そのために電子が分子などに衝突しやすいようプラズマの発生に高周波電源を用いるか,直流プラズマに磁気ミラー効果を利用することを検討する.その後,プラズマの診断を行い,プラズマ密度,プラズマ電位,浮遊電位などを計測する.この結果を基に2016年度では,実際に鋼の平板に窒化処理を行い,新しい処理法の特性,優位性を明らかにする.これの結果について学会発表,論文投稿などを行う計画である.
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Causes of Carryover |
消耗品について別予算で調達することが可能となったため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験数の増加に備えて消耗品費として用いる計画である.
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Research Products
(1 results)