2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14187
|
Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
宮本 潤示 大同大学, 工学部, 講師 (50713046)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | プラズマ窒化処理 / 微小隙間内面 / 化合物層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では微小隙間内面に窒化処理を行うことができる新しい窒化処理法を開発することが目的である. 研究2年目の2016年度では,大きく分けて以下の4つの成果を得た. 1.高周波を用いてプラズマを発生させ、試料の電位を独立して制御できる新しい処理法を開発した。従来の直流グロー放電では、高真空中でプラズマを発生させることは困難であり、新しい処理法の検討を昨年度行っていた。高周波を用いることで、高真空中においてもプラズマを容易に発生させることができ、試料を陰極とせず放電を起こすことができる。 2.電極の面積と自己バイアス電圧の関係を明らかにした。これにより、電極に付与される自己バイアス電圧の制御が可能となる。研究目的を達成するためには、プラズマ中の窒素イオンなどの制御が必要となる。よって、この結果からプラズマ中の窒素イオン等の制御が可能であり、本研究の目的達成が期待される。 3.窒化条件が窒化層の形成に与える影響を明らかにした結果、未処理の試料の約1.8倍硬さが向上した。従来の処理法と比べ処理時間も20%低減できており、その結果の意義は大きい。 4.形成した層は拡散層のみであり、表面粗さは未処理の値とほぼ同等であることが明らかとなった。表面に形成される窒化鉄などの化合物層の形成は見られなかった。本研究の目的である微小隙間内面への処理にあたり、化合物層を形成することなく拡散層のみを均一に形成することが必要である。このことから目的の達成が期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を行うにあたり,試料の電位を制御できる処理法は必須である。前年度の研究推進方策より、高真空中においてもプラズマを生成できる方法を今年度構築する計画であった。このことから、これらの構築を2016年度で完成させた。プラズマを生成するだけでなく、実際に工具鋼においてプラズマ窒化処理を行い、その特性および有効性を明らかにした。計画段階においてプラズマの診断を計画していたが、診断法の変更を現在検討している。今後はこの処理法を用いてプラズマの診断を行うと共に微小隙間内面の処理を実際に行っていき、本研究も目的を達成する計画である。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請当初からの今後の研究推進方策に大きな変更はない。今後の研究では、プラズマの診断を行ったうえで、本研究のプラズマの性質を明らかにする。その後、微小隙間内面に窒化処理を行っていき、その影響を明らかにする。また、本処理法の実際の機械部品等への適応も検討する。
|