2016 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental study on high-temperature chlorination reaction for the development of a novel process for recycling cemented carbide scrap
Project/Area Number |
15K14190
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷ノ内 勇樹 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (40644521)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | タングステン / コバルト / 塩化反応 / 超硬工具 / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
日本は、超硬工具の生産大国かつ消費大国であり、タングステンやコバルトを高濃度で含有する超硬工具スクラップが国内で多量に発生している。使用済み製品や研削スラッジなどの超硬工具スクラップのリサイクル法としては、亜鉛法や、酸化・アルカリ処理法、アルカリ溶融法などが一般的であり、国内でも実施されている。しかし、超硬工具スクラップの国内リサイクル率は未だ低い水準にあり、タングステンなどのレアメタル資源の国内循環を促進するためには、環境調和性と元素分離精製能に優れた新規リサイクルプロセスの実現が必要であると考えられる。そこで本研究では、炭化物や金属、酸化物など種々の化学状態にあるタングステンとコバルトについて、高温塩化反応の機構を調査するとともに、得られた知見を元にして、超硬工具スクラップの新たなリサイクル技術を開発することを目指した。 前年度、適切な塩素・酸素分圧下では、炭化物あるいは酸化物状態のタングステンを酸塩化物や塩化物へと変換し、コバルトに対して優先的に揮発できる可能性が示された。本年度は、前年度に引き続いて、各種熱力学的解析による反応場の設計を行うとともに、試薬や実際の研削スラッジを用いて高温塩化反応に関する基礎的な実験を行った。その結果、例えば、還元雰囲気で塩化鉄を塩化剤として用いた場合、タングステンを優先的に揮発分離できることが確かめられた。タングステンとコバルトの分離・回収率の向上や、揮発種の同定といった課題が残るものの、高温塩化反応を利用したリサイクルプロセスは、研削スラッジなどの処理に有効であると考えられた。
|