2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14192
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 正史 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70143386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 秀顕 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (10581746)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 貴金属触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度には,硝酸ナトリウムに塩化白金酸水溶液を加えて混合溶融するアダムズ触媒の製法で酸化白金の生成を確認し,これにもとづく貴金属複合酸化物の作製方法について検討した.本年度は,より直接的に貴金属の複合酸化物形成を観察可能な反応条件を模索し,溶融した硝酸塩に金属状態の貴金属を浸漬する酸化実験を実施した. 文献によると,硝酸ナトリウムの融点は約300度であり,400度以上の加熱では硝酸イオンが分解を開始してNaNO3 と NaNO2 の混合融体となると報告されている.また,より高温では分解がさらに進行して,酸化窒素の気体が発生することが知られている.これらの高温における分解過程で,強力な酸化作用が貴金属の酸化物形成を促進すると予想した. 高温実験にはカンタル線をセラミックチューブに巻きつけた電気炉を用い,大気開放した条件で行った.石英試験管内で硝酸ナトリウム約 1 g を400~700度の範囲の一定温度で加熱溶融し,貴金属を浸漬した.所定の時間で反応させた後,硝酸塩を水で洗い流し,貴金属の表面観察を行った. 高温処理後の貴金属には顕著な質量変化が見られなかったものの,外観の色の変化から表面酸化を目視で確認できるものもあった.また,反応後の着色の有無が加熱温度に依存したことからも,高温において酸化反応が進行することが示唆された.とくにパラジウムおよびロジウムの表面に酸化反応による化合物膜の形成が顕著に確認された.形成した化合物は,走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分光,および X線回折により分析し,貴金属の酸化状態とアルカリ元素との反応について考察を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者の所属機関が変更したが,全体としてはおおむね計画どおり研究が進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
酸化力を有する溶融塩中での反応を利用して,自動車触媒を構成する酸化物と貴金属の複合酸化物の形成を試験する.表面に生成した化合物のキャラクタリゼーションについては,組成や結晶構造の分析に加え,X線光電子分光を用いた価数の決定などを実施し,多角的に調査する.酸化物の性状を明らかにしたのち,塩酸など水溶液への溶解性調査を行い,自動車触媒のリサイクルへの応用可能性を検証する.
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Causes of Carryover |
28年度としては計画通りの金額を使用したが、27年度分の未使用分を繰越す形となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度となる29年度において28年度以上の回数実験を行うとともに、取りまとめに向けた研究代表者と分担者の打合せをより密にする. .
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