2016 Fiscal Year Research-status Report
ナノ構造変換を伴う金属ナノ粒子のマイクロ抽出システムの創出
Project/Area Number |
15K14198
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
高貝 慶隆 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (70399773)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 曇点抽出 / ナノロッド / 銀ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ナノ粒子のナノ構造変換型の抽出システムの創出を目的として,温度変化だけで,ナノ粒子の形状変換と抽出濃縮を同時に実現できるシステムの構築を行っている。 昨年度は,ナノ構造変換を伴うミクロ抽出システムの最適化,および,潜在力の探索,ならびにその評価を行うため,動的光散乱測定装置(DLS)および,透過型電子顕微鏡装置(TEM)を用いながら検討し,球形の銀ナノ粒子がロット状に形状転換を引き起こしていることが明らかにした。本年度は,最適条件を確定するとともに,昨年度,実験が不安定になる要因(再現性を担保する因子)が本研究の重要なキーになると考え,その点に注視して「球状からロッド状への転換機構」を解明するため,様々な実験を実施した。 その結果,界面活性剤は,非イオン性で親水基がポリオキシエチレン鎖,かつ,疎水基にt-オクチルフェニルエーテル基を有する界面活性剤が最適であることが分かった。さらに,球状からロッド状への転換には,カルシウムイオンと硫酸イオンが大きく関係していることが分かった。銀ナノ粒子を添加したときのみに見られるロット状へのナノ構造変換において,銀ナノ粒子はエッチングされて極微少量に存在することがわかった。一方で,ナノロットの主成分は,TEMのエネルギー分散型エックス線分析(EDX)の結果から,硫酸カルシウムであることがわかった。その一方で,無添加のカルシウムと硫酸イオン,すなわち,意図的に添加していないそれらの元素が,溶解度積以下の条件でナノロッドを形成するのか,さらには,なぜ銀ナノ粒子を必要成分とするのかを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度,実験の再現性が保てなくなり,諸条件の検討を一からやり直した。その結果,諸条件の最適条件が確定され,同時に,ナノ構造転換の要因のひとつに,実際には添加していないカルシウムイオンや硫酸イオンが影響していることが分かった。このことは,昨年度,不安定であった実験の再現性を安定的にし,遅れていた研究を大きく進展させた。これらの理由からおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,合成収率,抽出限界量を検討するとともに,新に分かったカルシウムイオンと硫酸イオンの役割について検討する。
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Causes of Carryover |
来年度,購入予定の試薬が輸入品で時間がかかること,また,若干の予算をオーバーしているため,その他,実験計画と照らし合わせて計画的に実施するため,繰り越し来年度に購入することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
銀ならびに金の化合物を購入予定。
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Research Products
(12 results)