懸濁重合場における反応・分散状態のX線トモグラフィー計測による解明

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15K14199
• Research Institution: Yokohama National University
• Principal Investigator: 上ノ山 周 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50233945)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2018-03-31
• Keywords: 化学工学 / プロセス / 撹拌・混合 / 懸濁重合 / X線トモグラフィー

Outline of Annual Research Achievements

X線照射装置を製作販売している会社にて、撹拌槽内の異相系分散挙動が計測できるか、予備実験を２回実施した。初回の実験では、母液に対して、密度が異なる固体が計測に掛かるかを検討した。300ｍｌのプラスティックビーカーを撹拌槽に見立て、マグネティック・スターラーを撹拌装置に用いた。まず水に対して撹拌子の回転がX線で可視化されるかを試したが、撹拌子の回転は捉えたものの、試した装置（MX-90wide）では、X線の照射方向が、鉛直方向であり、不要な装置部分までも画像化されてしまうことが分かった。そこで撹拌装置を横置きにし、ビーカー側面から撹拌を誘導する方式に改めて、再度試みたところ、明瞭に画像化された。次に種々の粒径の固体粒子を同方式で撹拌しその分散状態を計測したが、映像化はされたものの側壁からの撹拌では、十分な分散状態とならず、明瞭なものとはならなかった。最後に水に対してごま油をビーカーに注入しその分散状態の計測を試みたところ、やはり撹拌強度が不十分なため、油滴の分散状態を計測するには至らなかったが、液－液界面が、撹拌子によって振動的に変化する様子を捉えることができた。
第２回目の実験では、装置をMX-80ecoに変え、初回と同様の計測を試みたが、やはりX線の照射の方向の問題により、撹拌強度に不足を生じ、はかばかしい進展は得られなかった。この回には、撹拌器具・装置を製作販売している企業の方に同行頂き、X線装置内での重合反応装置の可能性を検討したが、高出力タイプの装置では、計測スペースが極めて狭小となり、重合反応をその中で遂行するのは著しく困難なことが分かった。なお、水－油の液液系に浮遊性固体粒子を注入し、静止状態から撹拌を開始したところ、油相が槽中心で下降する流れに乗じ固体微粒子が、巻き込まれ槽全体に分散されていくという興味深い挙動を目視にて観察することができた。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

X線照射装置内での重合反応場の計測は、目標が些か高すぎた。反応を伴わないコールドな場での固液あるいは液液分散系のX線計測から足下を固めていきたい。

Strategy for Future Research Activity

X線照射装置が、500万円を超えるため、同装置の購入は断念せざるを得ない。今年度は別会社にも当たり、試料持ち込みで予備実験を重ねたい。X線トモグラフィーを補完する目的で、ハイスピードカメラを購入し、同カメラでの観察結果も併用しながら、所期の成果を上げるように努力をしたい。

Causes of Carryover

X線照射装置自体を購入することは断念せざるを得なくなった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度に繰り越して、ハイスピードカメラを購入したい。