2015 Fiscal Year Research-status Report
高速・大面積製膜を可能とするフレキシブルセラミック膜のCVD製膜
Project/Area Number |
15K14207
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
都留 稔了 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20201642)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セラミック膜 / プラズマCVD / 分離 / シリカ膜 / ゾル-ゲル / layered hybrid |
Outline of Annual Research Achievements |
無機膜は高分子膜をしのぐ選択性と透過性を示す一方,高コスト,低膜充填密度などの欠点を有する。典型的なシリカおよびシルセスキオキサン膜(SQ)は,セラミック基材の上に薄膜製膜されている。現状のセラミック基材の厚みは1mm,分離層は100nm程度であり,そのコストの大部分は支持体であると言われている。将来の広範な実用化を考える際,製造コストの低減のみならず,軽量化,高膜面積化,フレキシブル化とともに,高速製膜技術の開発が必要不可欠と考える。そこで高分子多孔膜を基材とし,分離層としてシリカ層を有するlayered hybrid構造を提案する。layered hybrid膜とすることで,高選択性・高透過性だけでなく,低コスト,高い膜充填密度,軽量を併せ持つ,新規なフレキシブルセラミック膜が可能となる。さらに,真空装置の必要のない常圧プラズマを用いて,高分子基材へのシリカ膜の製膜が可能であることを明らかにすることで,大面積かつ高速製膜が可能になり,シリカ膜の応用が加速度的に展開されると考える。 そこで本研究では,(a)高分子基材へのゾルコーティングによるシリカ膜のlayered hybrid製膜技術の確立,および(b)常圧プラズマを利用した高速製膜技術の開発,を研究目的としている。(a)に関しては,市販高分子ナノろ過膜を支持体としてSQ層を製膜した,layered hybrid膜が浸透気化および逆浸透特性を示すことを明らかとした。(b)に関して,セラミック中間層に,常圧プラズマCVD法により分離機能性を示すシリカ膜の形成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,(a)高分子基材へのゾルコーティングによるシリカ膜のlayered hybrid製膜技術の確立,および(b)常圧プラズマを利用した高速製膜技術の開発,を研究目的としているが,(a)に関しては既に逆浸透分離特性を示すlayered hybrid膜の開発に成功している。(b)に関しても予備実験的な段階ではあるが,既に分離特性(CO2/N2透過率比~30)を示す常圧プラズマCVD膜の製膜に成功しているから。
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Strategy for Future Research Activity |
(a)高分子基材へのゾルコーティングによるシリカ膜のlayered hybrid製膜技術 高分子基材の選定(材質:ポリスルホンPSf,ポリフッ化ビニリデンPVdFなど,各種細孔径(分画分子量)),高分子膜の前処理法(プラズマ表面処理など),コーティングゾル(コーティングゾルの親疎水性制御,分子量,溶媒種類など),コーティング法(スピンコート,ディップコート)を詳細検討して,layered hybrid製膜の最適化を図る。 (b)常圧プラズマを利用した高速製膜技術の開発 現有の常圧プラズマ蒸着ユニット(ダメージフリープラズマジェット(PF-DFMJ-02))を用い,まず大気との接触の無いような閉鎖系プラズマ製膜装置(およびin-situ気体透過率測定機能付き)を作製し連続製膜の可能性を明らかとする。
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Causes of Carryover |
効率的に予算を支出したが,次年度繰り越しが,予算配分1,950,000円にたいして19,569円とわずかな金額が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度の予算と一括して使用する。
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