2015 Fiscal Year Research-status Report
アルミノフェリシリケート触媒によるナフサ留分からの低級オレフィン低温合成
Project/Area Number |
15K14210
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
多湖 輝興 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (20304743)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤墳 大裕 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (90757105)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 化学工学 / 触媒・化学プロセス / 反応工学 / 石油化学 / ゼオライト |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,ナフサ留分からの低級オレフィン合成やBTX合成,およびアルキル芳香族からの脱アルキルによるBTX合成では,固体酸触媒によるクラッキング,および部分酸化分解が検討されている.本研究では,固体酸触媒の活性点となるアルミニウム原子,および酸化触媒の活性点となる鉄原子をゼオライト骨格に導入したアルミノフェリシリケート触媒を開発する.研究目的は,各種アルミノフェリシリケート型ゼオライトの合成,および部分酸化反応とクラッキング反応により,低温反応条件(300℃程度)でのナフサ留分からの低級オレフィンとBTXを合成する触媒反応場の創製と新規反応経路の開拓である. 基材触媒となるアルミノフェリシリケート合成を実施した.MFI型ゼオライト合成では,構造規定剤にテトラプロピルアンモニウムカチオンを用いた.先ず,Si源にテトエトキシシラン,Al源としてアルミニウムイソプロポキシドを用い,構造規定剤を含む水溶液を調製した.十分に攪拌した後,Fe 源である硝酸鉄水溶液を投入し,水熱合成を実施した.上記の調製法により,Fe/Al比の異なる,MFI型アルミノフェリシリケートの合成に成功した.アンモニアTPD,およびUV-visスペクトル分析により,Feイオンが原子状にゼオライト骨格に導入されていること,および,Fe由来とAl由来の固体酸性が発現していることを確認した.さらに,MFI型ゼオライト以外に,MTW型ゼオライトのアルミノフェリシリケート合成に着手している. Fe 含有量の異なるFe-Al-MFIを触媒に,アルキルベンゼン(ヘキシルベンゼン)を原料に用い,触媒の酸化・クラッキング活性を評価した.Al-MFI,Fe-MFIと比較し,AlとFeを含むアルミノフェリシリケートであるFe-Al-MFIにおいて,ヘキシルベンゼンの脱アルキルが効果的に進行することを明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1-1)アルミノフェリシリケート合成:MFI型アルミノフェリシリケート合成では,構造規定剤にテトラプロピルアンモニウムカチオンを用いた.先ず,Si源にテトエトキシシラン,Al源としてアルミニウムイソプロポキシドを用い,構造規定剤を含む水溶液を調製した後,Fe 源である硝酸鉄水溶液を投入し,水熱合成を実施した.ここで,Fe源の投入順が重要であり,Si源,Al源と構造規定剤を投入して十分に加水分解を進行させた後,Fe源を投入する必要があった. 1-2)合成した試料の評価:上記の調製法により,Fe/Al比の異なる,MFI型アルミノフェリシリケートの合成に成功した.アンモニアTPD,およびUV-visスペクトル分析により,Feイオンが原子状にゼオライト骨格に導入されていること,および,Fe由来とAl由来の固体酸性が発現していることを確認した.MFI型ゼオライト以外に,MTW型ゼオライトのアルミノフェリシリケート合成に着手した.構造規定剤にはメチルトリエチルアンモニウムブロミド,テトラエチルアンモニウムブロミドを使用し,MFIにおけるFe種添加手順と同じ方法を用いている.この方法により,MTW型構造を有するアルミノフェリシリケートの合成に成功した. 1-3)反応活性評価:Fe 含有量の異なるFe-Al-MFIを触媒に,アルキルベンゼン(ヘキシルベンゼン)を原料に用い,触媒の酸化・クラッキング活性を評価した.Al-MFI,Fe-MFIと比較し,AlとFeを含むアルミノフェリシリケートであるFe-Al-MFIにおいて,特に,FeとAlを同量(Fe/Al=1.0)含むとき,ヘキシルベンゼンからの脱アルキル反応が効果的に進行した.
|
Strategy for Future Research Activity |
結晶サイズの影響: ゼオライト結晶サイズの異なる,MFI型,およびMTW型アルミノフェリシリケートを合成し,結晶サイズがクラッキング反応,酸化反応へ及ぼす影響を明らかにする.これまでの知見では,150nm程度以下の結晶であれば,クラッキング反応は反応律速で進行する.一方,酸化反応は非常に反応が速いため,物質移動の影響を受ける可能性がある.150nm程度,および1000nm程度の結晶サイズのゼオライトを合成し,結晶サイズの影響を明らかにする. ヘテロ原子導入量が低級オレフィン合成に及ぼす影響: ナフサ留分として,n-ヘキサンとアルキルベンゼンベンゼンを原料に用い,これらの脱水素・クラッキング活性評価を実施する.FeとAlの含有量が異なる,Fe-Al-MFI 型アルミノフェリシリケートを触媒に用い,低級オレフィンの選択合成,およびアルキル芳香の脱アルキル反応を実施する.Fe 含有量,酸素分圧,反応温度の検討を基に,FeとAl 含有量とクラッキング活性の関係を明らかにする. ゼオライト結晶構造の影響: MFI型,およびMTW型ゼオライトの主細孔構造は,それぞれ10員環と12員環である.また,MTW 型ゼオライトでは,4,5 員環構造は結晶外表面に,6 員環構造は細孔表面にのみ存在し,Fe 原子は細孔内表面に,Al 原子は結晶外表面に局在化していると考えられる.そこで,MFI型とMTW 型アルミノフェリシリケート触媒によるn-ヘキサンとアルキルベンゼンの部分酸化・クラッキング反応を実施し,結晶構造がアルキル鎖の分解,低級オレフィン合成に及ぼす影響を明らかにする.特に,アルキルベンゼンでは,アルキル鎖長の影響,脱アルキル化反応によるBTX合成,および脱アルキル基のオレフィン化を詳細に検討する.
|