2015 Fiscal Year Research-status Report
酸化/還元場を分割した2層型光触媒マイクロリアクターの開発
Project/Area Number |
15K14214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長嶺 信輔 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30335583)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光触媒 / マイクロリアクター / ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光触媒を金属板の片面に固定化した基板を介して、酸化/還元場を2つの独立した流路に分割した2層型光触媒マイクロリアクターの開発を目的としている。光触媒側流路への光照射により正孔と電子が生成し、電子が金属板を経由してもう一方の流路に移動し、光触媒側流路で正孔による酸化反応、金属側流路で電子による還元反応が進行することを期待している。平成27年度は市販の酸化チタンナノ粒子を金属チタン板に塗布した基板を用いて2層型マイクロリアクターを作製し、酸化チタン側流路でクエン酸の酸化、金属チタン側流路で鉄(III)イオンの還元を行い、酸化/還元場の分割の実現可能性を検証した。酸化チタン側流路にのみUVを照射し、金属チタン側流路出口における溶液を分析した結果、鉄(III)イオンの還元による鉄(II)イオンの生成が確認され、正孔と電子の分割により酸化/還元反応を異なる流路で選択的に行うというコンセプトの実現可能性が実証できた。また、酸化チタン側流路におけるクエン酸濃度、pH等の条件が、金属チタン側流路における鉄(III)イオンの還元反応の進行に影響を与えるということが明らかになった。また、フッ化物イオンを含む電解液中での金属チタン板の陽極酸化により、酸化チタンナノチューブアレイの作製を行った。作製条件によりチューブ径、長さの制御が可能であった。得られた酸化チタンナノチューブ/金属チタン基板を用い、上記と同様にマイクロリアクターを作製し反応を実施したところ、市販の金属ナノ粒子を固定化したものに性能が及ばないという結果となった。これは酸化チタンの固定化量が少ないためであると考えられ、今後作製条件の最適化による性能の向上を図る予定である。以上の結果はAPCChE Congress 2015や化学工学会第81年会などで発表しており、現在学術雑誌への投稿を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、開発する光触媒マイクロリアクターの原理確認を行い、酸化/還元場を異なる流路に分割可能であることを実証した。また、陽極酸化法による酸化チタンナノチューブ/金属チタン基板の作製、およびマイクロリアクターへの適用まで研究を進めることができた。以上より、概ね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はクエン酸の酸化/鉄イオンの還元という反応が進行しやすく、分析が容易な系を選択した。平成28年度はより実用的な反応系として、ニトロベンゼンの還元によるアニリンの製造、カルボン酸の還元によるアルデヒドの製造などについて検討を行う予定である。また、陽極酸化法による酸化チタンナノチューブ/金属チタン基板の作製、光触媒マイクロリアクターへの応用に関して、チューブ径や長さの最適化について検討する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に導入したガスクロマトグラフでは、測定データは紙に印刷されるため、データをPCに取り込み詳細に解析することができない。データをPCに取り込む装置および解析ソフトを平成28年度に購入するために、平成27年度予算の一部を繰越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度予算と合わせ、ガスクロマトグラフのデータをPCに取り込む装置および解析ソフトの購入に充てる。
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Research Products
(6 results)