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2015 Fiscal Year Research-status Report

低品位炭の脱酸素によるクリーンコール化と芳香族ケミカル回収

Research Project

Project/Area Number 15K14218
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

増田 隆夫  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20165715)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 中坂 佑太  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30629548)
吉川 琢也  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20713267)
Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords化学工学 / 資源化学プロセス / 化石燃料有効利用技術
Outline of Annual Research Achievements

低品位炭は、埋蔵量が多く未利用炭素資源の一つとして注目されているが、水分・酸素分が多いために発熱量が低く利用が限られている。本研究では、二段階の工程により、褐炭の改質と芳香族成分の回収を実施する。まず一段目では、褐炭を水/有機溶媒中で反応させることにより褐炭を有機相へ抽出する過程で脱水・脱酸素を進行させ改質する。二段目では、一段目で得られた有機相に含まれる褐炭由来低分子成分を酸化鉄系触媒と反応させることにより縮合芳香族化学原料へ変換する。平成27年度は、第一段工程である水/有機溶媒を用いた褐炭の改質を中心に実施した。
1)改質に用いる有機溶媒として極性溶媒と非極性溶媒を検討した。反応により得られる固形分(改質炭)の収率と含有炭素濃度の観点から、非極性溶媒が適していることを見出した。
2)改質反応で有機溶媒中に可溶化した褐炭由来成分を分析したところ、フェノール類が含まれ、反応温度が高いほど液状生成物の分子量が大きいことが分かった。また、改質炭に含まれる灰分率は、原料褐炭と比較して大きく減少した。よって、褐炭由来芳香族成分の有機溶媒への可溶化と灰分の水相への抽出により、改質が進行することが示唆された。
3)改質条件を検討した結果、反応温度により脱酸素の進行度を制御できることが分かった。混合溶媒の相状態は、プロセスシミュレータソフトにより推定し、反応温度300~350℃において褐炭を亜瀝青炭と同等まで改質することに成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

褐炭から二段階の反応工程により改質炭と縮合芳香族を製造するプロセスにおいて、一段目における褐炭の改質について検討した。
1)褐炭の水/有機溶媒処理に用いる溶媒の選定
水と組合せて用いる有機溶媒として、1-ブタノールのような極性溶媒とトルエン、ベンゼンのような非極性溶媒を検討した。反応により得られる固形分(改質炭)収率と炭素含有率は、トルエンを用いた方がいずれも大きいことが分かり、有機溶媒には非極性溶媒を選定した。混合溶媒との比較のため、水のみ及びトルエンのみを溶媒に用いた実験を実施した。水のみでは、脱酸素が進行するものの改質炭収率が低かったのに対し、トルエンのみでは、脱酸素が十分に進行しなかった。一方、水/トルエン溶媒では、脱酸素が水のみと同等で、かつ高い改質炭収率が得られた。これは、混合溶媒としたことで水による過度の加水分解反応が抑制されたためと推測され、混合溶媒の優位性を実証した。
2)反応条件の探索
水/トルエン混合溶媒を用いて、反応温度を200℃~350℃で変化させて改質を行ったところ、高温ほど脱酸素反応が進行し、反応温度により改質の進行度を制御できる可能性が示された。得られた改質炭の元素分析結果から、反応温度300~350℃において原料の褐炭を亜瀝青炭と同等まで改質できたことが分かった。改質反応で有機溶媒中に可溶化した褐炭由来成分を分析したところ、フェノール類が含まれ、反応温度が高温ほど液状生成物の分子量が大きいことを確認した。また、改質炭に含まれる灰分率は、原料褐炭と比較して大きく減少した。よって本反応では、褐炭由来芳香族成分の有機溶媒への可溶化と灰分の水相への抽出が進行することが示唆された。以上より、水/トルエン混合溶媒を用いた改質により、亜瀝青炭程度の改質炭を得ることに成功し、当初の計画を達成した。

Strategy for Future Research Activity

1)褐炭の改質機構の解明および反応条件の最適化
H27年度の研究により、水/トルエン混合溶媒を用いて、褐炭から亜瀝青炭程度の改質炭を収率よく製造することに成功した。脱酸素反応は、熱分解と加水分解により進行していると推察され、H28年度では、反応条件の更なる精査及び改質機構をより詳細に検討する。FT-IR測定により、原料褐炭と改質炭の官能基を測定し、改質前後の変化を明らかにする。加えて、ジフェニルエーテル等のモデル物質を用いた実験を行うことで、分解挙動を予測する。得られた結果に基づき、水/有機溶媒中における褐炭改質機構を明らかすると共に、改質条件を最適化する。
2)褐炭低分子化液状生成物からの芳香族化学原料の製造
水/有機溶媒中での改質処理により、褐炭の熱分解と加水分解が起こり、含酸素官能基を有する芳香族成分が得られる。H27年度では、液状生成物の分析により、フェノール類が含まれ、反応温度が高温ほど液状生成物の分子量が大きいことを確認した。H28年度では、液状生成物の触媒反応により縮合芳香族化学原料を回収する。触媒には、研究代表者らが開発し、リグニン可溶化液からのフェノール類回収に用いたFeOx系触媒を主に用いる。リグニンの場合と比較して、褐炭由来成分には炭素-炭素結合が多く含まれると推測され、縮合芳香族成分の回収にはその分解が必要となる。FeOx系触媒にアルミナやチタニアを添加することで、触媒酸性度を制御し、同触媒の有効性を反応により実証する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 水/有機溶媒による褐炭の改質及び有用化学物質製造2016

    • Author(s)
      鈴木健太、中坂佑太、吉川琢也、多湖輝興、増田隆夫
    • Organizer
      化学系学協会北海道支部2016年冬季研究発表会
    • Place of Presentation
      北海道大学(札幌)
    • Year and Date
      2016-01-19 – 2016-01-20

URL: 

Published: 2017-01-06  

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