2015 Fiscal Year Research-status Report
新規な規則性多孔体を基盤とする高性能酸化触媒の開発と高難度反応への挑戦
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15K14221
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
窪田 好浩 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30283279)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゼオライト触媒 / チタノシリケート / 部分酸化 / ベンゼン / フェノール |
Outline of Annual Research Achievements |
TEBOPと呼んでいる有機の構造規定剤用い,dry-gel conversion法を駆使して前駆体YNU-2P の合成を行った。その際,原料組成比,合成温度,合成時間,pH,添加物,焼成温度・時間等の検討を行い,焼成前後のゼオライト骨格構造の規則性および焼成サンプルの細孔の状態などを確認した。その結果,純度・結晶性および安定性が高く,その後の触媒の作りこみに適したYNU-2サンプルを得た。比較サンプルとして、MFI骨格を有するチタノシリケートTS-1を合成した。これで,H28年度にベンゼン部分酸化を検討する準備が整った。別途合成した種々のMSE骨格にTiを気相または液相で導入する検討も行った。従来型MSEであるAl-MCM-68の合成法に従い原料を混合した後,Ti(OBu)4,30%過酸化水素水を加え,室温で撹拌した.混合液のモル組成は1.0SiO2 − 0.1R2+(I−)2 − 0.375KOH − 0.111Al(OH)3 − 0.01Ti(OBu)4 − 30H2O – 0.088H2O2 である.これをオートクレーブに仕込み,160ºC,16日間,静置条件で水熱合成を行った.生成物は,骨格にAlと少量のTiを含んでいた。焼成により有機物を除去後,還流条件下で濃硝酸酸処理を24 h行い,最後に650ºC,4 hの加熱処理を行うことにより,Alをほとんど含まずTiが骨格に残るTi-MSEを得た。このように簡便な液相Ti導入法の確立は,今後のベンゼン酸化触媒開発をする際にも極めて有用な成果と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ti-YNU-2触媒の調製はほぼ計画通りに進んでいる。ただし、並行して行うことになっている a)YNU-2 の骨格内での欠陥部位の位置と量を制御するための,前駆体YNU-2P のスチーミング条件の検討,残留有機物の定性・定量分析,酸処理時の「酸濃度」「酸処理温度」「酸処理時間」の検討など;(b) YNU-2 のTiCl4 処理時の「処理温度」「処理時間」「TiCl4 流量」の検討およびスケールアップの検討など;(c) Ti-YNU-2 の焼成処理時の「焼成温度」「焼成時間」「ガス雰囲気(特に水分量)」の検討など のすべてが十分なわけではないので,当初の計画より進んでいるとは言えない。一方で,当初計画にない意外な成果も得られているので,総合的には「おおむね順調」を選んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
従来型触媒であるTS-1を合成し,ベンゼン酸化反応の反応条件と反応操作の最適化を図る。また,Ti-YNU-2やTi-MCM-68,Ti-MCM-41を用いて,アルキルベンゼン類の部分酸化の挙動を検討する。アルキルベンゼン類はフェノールよりもベンゼンに近い性質をもっているので,ベンゼン酸化の高効率化の手がかりがつかめると考えている。また,アルキルベンゼンの場合,芳香環の酸化以外に,ベンジル位の酸化も想定されるので,芳香環とベンジル位の反応のどちらを促進するかで触媒を分類し,活性点の違いを明らかにしていきたい。
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