2016 Fiscal Year Annual Research Report
Chiral heterogeneous catalyst controlled by non-bonding interaction between the metal sueface and the polymer matrix
Project/Area Number |
15K14222
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
櫻井 英博 大阪大学, 工学研究科, 教授 (00262147)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高分子保護金属クラスター / 触媒 / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機高分子保護金属クラスター触媒において、弱い相互作用しか存在しない金属クラスター表面と有機高分子との界面に、化学的あるいはコロイドのモルフォロジー変化による摂動を与えただけで新たな反応性を獲得する可能性の探求の一環として、不斉反応をその典型例として選択し、不斉反応場を誘起し、金属クラスター触媒を用いた不斉反応を試みるものである。 27年度に合成したキラルPVPをマトリクスに用いた金ナノクラスターを用いて、28年度においては、実際に不斉反応を試みた。具体的には2級アルコールの酸化反応における速度論的光学分割、およびトシルアミドのアルケンへの分子内付加反応である。前者においては顕著な不斉誘起は観測されなかったが、後者の反応においては、当初の予想通り、分子量の大きなキラルPVPを用い、粒子サイズが5nm程度の大きなクラスター、すなわちマトリクスと金属表面との相互作用が最も大きくなると予想される系において、明確な不斉誘起が見られ、最大で90%不斉過剰率を示した。しかしながら、これらの不斉誘起が見られた系はいずれも反応変換率が低く、当初予想していた高い反応性は逆の傾向を示した。 なお、以前、本研究に関して共同研究を行っていたグループから、ほぼ同様の内容の論文が発表された(Hao et.al. J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 16839.)。ただし、我々は同内容の再現性が取れていないために、未発表であったことを付記しておく。
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