2015 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム・フェノーム統合スクリーニング系を可能にするハイスループット培養法の確立
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15K14231
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
小笠原 渉 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40292172)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スクリーニング / 1細胞分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイスループット培養系で環境微微生物を培養するために、1細胞を分離すると共に選択方法(スクリーニング方法)を確立する必要がある。我が国は油脂自給率がカロリーベースで約3%と低いため、輸入に依存しない安定した油脂供給プロセス開発が必要とされている。現在、新たな油脂供給源として細胞内に大量の油脂を蓄積する微生物が注目されている。そこで、目的の微生物機能を「油脂生産」とし、油脂生産酵母を題材とした油脂生産微生物のスクリーニング方法の検討・確立を行った。また、確立したスクリーニング法が有効であるのかどうかを検証するため、作出した多数の油脂酵母の変異体の中から油脂生産性に優れている変異体の選抜を行った。 油脂を染色することができる試薬Nile redを用いることで酵母菌体内の脂肪球を染色したのち、染色した菌体群をセルソーター(細胞や染色体を連続的に移動する小さい液滴の中に閉じこめ、それに主にレーザー光を利用した励起光を照射して生じる回折光や蛍光の大きさと波長から、特定の細胞の分布の調査や特定の細胞を分取することができる装置)を用いて分取した。その結果、油脂を蓄積している酵母細胞のみを取得することに成功した。これより、環境微生物サンプルをNile redで染色し、セルソーターを用いることで分離する方法を確立した。さらに、油脂酵母を紫外線処理して突然変異を誘発させた変異株群を確立したスクリーニング方法で分離することで、油脂生産性が強化された菌株を取得することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度までに、油脂生産酵母をモデル生物として、微生物の単離スクリーニング方法の確立に成功している。 本申請のハイスループット培養系では、ナノ加工技術を用いた表面加工によりロータス効果(蓮の葉の粗撥水性)およびペタル効果(バラの花の親水性)が応用された培養プレートを用いる。この二種類の表面加工を施した培養プレート上に、ドロップ状の培地を設置して気相培養を行うことで、好気性微生物の培養を実現させる。ロータス効果とペタル効果の再現に技術的な課題があるため、培養プレートの試作が遅延している。また、ドロップ状の培地の培養における水の蒸発量の制御にも課題が残る。
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Strategy for Future Research Activity |
1)培養プレート上におけるロータス効果とペタル効果の再現 ナノ加工技術を駆使してロータス効果とペタル効果を最大限かつ安定的に再現し、微生物を培養可能な培養プレートの開発を目指す。現在は素材の選定および表面構造の設計を進めている。 (2)ドロップ状培地の安定的な培養方法の確立 培養プレートの開発に平行して、既存の疎水性素材を用いてドロップ状培地の安定的な培養方法の確立を目指す。現在は好気性微生物である油脂生産酵母をモデル生物として扱っているが、それに加えて今後は土壌微生物、活性汚泥微生物および病原菌等も培養可能な培養系を構築していく。
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Research Products
(5 results)