2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞の動的3次元パターニングによるオンチップ臓器へ挑戦
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15K14232
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
秋山 佳丈 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (80585878)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞パターニング / 磁気アルキメデス効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は,磁気アルキメデス効果に基づくラベルフリー細胞パターニングを検証した.H28年度はそれに引き続き,スフェロイド(細胞塊)の形成およびその操作・配置技術について検討を行った. まず,スフェロイドをアレイ状に形成するため,N極とS極が交互に並んだ磁石アレイを作製した.次に,シリコンゴムで作製した流路に,厚みが0.2mmのガラス板をプラズマボンディングにより接着することで,マイクロ流路チップを作製した.このマイクロ流路チップの下に磁石アレイを設置することで,流路内に複数の細胞凝集体を同時に形成することに成功した.次に,この細胞凝集体を2時間程度培養し,それぞれが1つのスフェロイドとなった後に,磁石アレイを外し,単一のネオジム磁石をスフェロイドに近づけた.その結果,スフェロイドはネオジム磁石に反発し移動した.以上により,ネオジム磁石を用いて,マイクロ流路内におけるスフェロイドが操作可能であることが示された 次に,2対の電磁石を用い,電流制御によるスフェロイドの位置操作について実証した.まず,磁場解析によって,各電磁石のコイルに印加する電流の大きさと生成する磁束密度勾配の関係を解析した.それにより,各コイルに印加する正弦波電流の振幅と角度を変化させることで,磁束密度最小の点の位置を制御することができることが分かった.最終的には,解析結果を基にチャンバー内でスフェロイドの位置制御を行った.磁場解析から予測されたスフェロイドの位置と,実験結果には若干のズレはあったものの,ほぼ任意の位置に移動させることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロ流路内における微小生体組織の構築に向けて,磁気アルキメデス効果に基づくラベルフリー細胞操作技術に基づき,H27年度に細胞パターニング,そして,H28年度に微小組織であるスフェロイドの操作と基盤技術の確立に成功した.しかし,最終目標である臓器を模した微小組織の構築には至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した基盤技術を用いて,H29年度は生体に近い複数種の細胞からなる微小組織の構築に取り組む.
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Causes of Carryover |
2年目以降の研究計画にあるマイクロ流体デバイスを作製するために新たな微細加工設備の立ち上げる予定であったが,研究代表者が学内業務により十分な時間が取れず,遅れてしまった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は,微細加工および細胞培養関連の消耗品購入,実験補助員の雇用費用などに使用する.
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