2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14259
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 健 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (90183433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 良太 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (20724420)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海洋工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は理論的背景の整理と確認を主として行った。長波頂不規則波の場合、1点で計測された時系列情報から浮体位置での波浪を予測できるが、短波頂不規則波の場合は、浮体を取り囲む線上の波高の時系列が得られれば浮体位置での波高の予測が可能であることがわかった。しかし、実際には有限な計測点しかない。そこで、有限個の計測点の時系列情報から浮体位置での波高予測を行う方法を理論的に示すとともに、具体的な数値計算アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムにより、現実的なドローンの数で予測可能なことが分かった。一方、面情報からの予測についてはレーダ画面の解析により浮体周辺の波浪を成分分解し、再構築して浮体位置における波浪の予測を行う方法を文献等で調査したが、レーダ画面情報の取り込み方やレーダ画像で欠損している範囲の補完方法に問題があることを確認した。 精度の検証は2次元波浪水槽を用いて、長波頂不規則波中で2点の波高計測を行い、1点の計測値から予測される波形と実際の計測波形を比較し、長波頂波の場合は実験的にも精度よく推定可能なことが分かった。数値計算では、長波頂不規則波の場合について様々な計測位置と予測時間の関係を調査し、予測時間に応じたドローンの配置を得ることができた。また、短波頂不規則波の場合についても検討を行い、ドローンの数が十分な場合には精度良く予測可能なことを示した。さらに、この結果を実験的にも確認するため、実験計画を策定し、28年度実施予定の実験に備えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である多数のドローンを用いた個別波の予想については、精度良く推定可能な数値計算アルゴリズムを開発でき、かつシミュレーションでその精度も確認できた。一方レーダー画像との併用による精度改善については、レーダー画像方式の問題点があり、精度が改善できるのかどうか不明な状態になっている。レーダー画像併用については、それが必ず必要なわけではないので、研究全体の進捗としては特に問題にはならない。 一方、ドローンによる波浪の計測については、実際に防水ドローンを購入し波高を予測するための加速度センサー等の電子機器の構築を進めており、実験の準備が整った。これは当初の予想より早く進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
東京大学生産技術研究所が所有する海洋工学水槽において短波頂不規則波を発生させ、上記で得られた最適配置に設置した波高計の情報より、浮体位置の波形を予測し計測値と比較する。さらに、模型浮体による動揺の計測も実施し、動揺の予測精度についても検証を行う。ただし、レーダ計測併用は余りメリットが無いので、今後は文献調査の身にのみにする。 一方、実用化へ近づけるため、海上作業船を例として、計測時間やDrone の配置等を検討する。これに基づき、Drone に必要な航続距離、速度、ペイロード等を検討する。さらに、防水ドローンの波浪中での耐候性等の検討と加速度センサーによる、加速度及び変位の計測を行い、実用的な精度で計測可能かどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
出張旅費が当初予定より多少安価となったため次年度使用額が生じたが、研究は計画通り進捗している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は少額のため、次年度の出張旅費の一部として使用する予定である。なお、次年度は最終年度であり予算管理を丁寧に実施する。
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