2015 Fiscal Year Research-status Report
パルス信号間のコヒーレント性に着目した移動流体速度を精密に計測する試み
Project/Area Number |
15K14264
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
河口 信義 神戸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90234690)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ドップラーソーナー / コヒーレント方式 / パルス間相関 / 精密流速計測 / 海洋計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,従来から用いられているドップラー効果による周波数シフト量にパルス間のコヒーレント性から得られる位相情報を付加することにより,精密流速を計測することを目的としている.初年度の研究計画では,以下のことを実施する予定であった. (1)実用的な水中音速伝搬モデルを用い,厳密な数値シミュレーションによって,本提案手法に適した送信周波数,パルス波形などの基本的パラメーターを検討すると同時に,流速の計測制度について厳密な評価を行う. (2)初めに室内の簡易水槽を用いて基礎的な実験を行い,得られた実験結果と上記数値シミュレーション結果を比較検討し,次に学内の大型水槽による評価実験を実施した. 初年度の研究計画に従って,数値シミュレーションによる評価,室内の簡易水槽および学内大型水槽における実験を実施し,その結果より科研申請で示したとおり現在用いられているドップラー流速計のほぼ10倍の計測精度の改善を達成しており,初年度としてはほぼ期待どおりの十分な研究成果が得られたものと考える. また,様々な理工学分野での利用を念頭に置き,位相情報を収集するための新たな計測手法について,従来からの周波数シフト量から得られる流速情報とここで新たに得られたパルス間のコヒーレント性から得られる位相情報に適切な信号処理を施し,それら2つの情報を融合させる新たな処理方法も提案した.それらの成果として,学術雑誌への論文投稿,研究発表および知的財産権などで十分良好な研究実績が得られ,世界に先駆けた精密なドップラー流速計の研究開発,実用的なシステム構成の検討,更には基盤研究への進展が大いに期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要および成果物でも示しているとおり,問題無く順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は交付申請書に記載したとおり,以下の2点について実施する予定であるが,屋外における洋上実験を計画していることから,天候などの不測の事態によって進展状況が多少変わることが考えられる. (1):学内にある係船池および付近海域において,小型船に計測システムを搭載し,より実用化に向けた洋上における実験を行う.同時に,GPS姿勢計測計でトランスデューサー位置とGPS速度計用いて提案システムの計測精度を検証する.洋上実験では室内水槽実験に比べて遠距離であることから,フィルターリング処理で受信信号強度を確保する. (2):実験やシミュレーション結果から,更に改良を加えて計測システムを実用的なシステム構成を検討する.
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Causes of Carryover |
次年度の当初に屋外における水槽実験を予定し,そのために必要な実験用品(約17万円)を年度末に購入する予定であったが,次年度当初に機能がより充実した新商品に改良されるとの情報を入手したため,年度内の購入から次年度予算に振替えることによってより機能が充実した商品を購入する.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に新製品を購入し,実験に用いる.
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Research Products
(10 results)