2016 Fiscal Year Research-status Report
バイオテンプレートによるリチウムイオンシーブの合成と集積化
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15K14275
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹木 圭子 九州大学, 工学研究院, 教授 (30311525)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生体鉱物 / リチウムイオンシーブ / イオン交換 / 集積化 |
Outline of Annual Research Achievements |
マンガン酸化真菌Paraconiothyriumsp.WL-2 が合成した低結晶生バーネサイトは菌糸の表面から放出するマンガンペルオキシダーゼにより、中性条件のもとでもマンガン(II)の酸素による酸化反応を促進し、真菌の表面に形成される。これを焼成することにより、菌糸形状を維持したままスピネル型H1+xMn2-xO4(HMO)の相が形成され、高効率反応場を与えるリチウムイオンに選択的なイオン交換体となった。この粉末の集積化法として、アルギン酸ゲルビーズの中に分散状態を保ったまま埋包することに成功した。このときのリチウムイオン最大吸着容量は、HMO単位重量あたり3.61mmol/gとなり、アルギン酸ゲルビーズ内に埋包しないHMO粉末のときの最大吸着容量の値(3.68mmol/g)に対して遜色ないものであった。リチウムイオンが高分子アルギン酸カルシウムゲルの網目構造を通過しながら、HMO上でのイオン交換が可能であることが示された。吸着過程のあとの脱着過程においても、イオン交換体の化学的安定性が確認された。海水相当のイオン強度をもつ水溶液の中で、吸着脱着過程を5回繰り返した後でもリチウムイオン最大吸着容量の減少率は10%以下にとどまっていた。アルギン酸ゲルビーズ埋包化によって、化学的再生性も強化されていることが明らかとなった。その詳細の内容はPowder Technologyに公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分子ゲル埋包型リチウムイオンシーブに対して、イオン交換容量の定量化、速度論、海水相当のイオン強度をもつ条件にて5回の反復試験により化学再生性の確認ができた。JSPS外国人特別研究員制度、JSPSサマープログラム、JSTサクラプログラムなど海外からの若手研究者の来訪機会を組み合わせて、本研究の成果を国際共同研究として1つの論文を公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
地熱水中にリチウムイオンが海水中の50倍以上溶存していることがわかっているので、高分子ゲル埋包型リチウムイオンシーブの温度に対する耐性を検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた国際会議に出席できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度には、関係する国際会議での成果発表を申し込み済みである。
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Research Products
(7 results)