2015 Fiscal Year Research-status Report
プロセスミネラロジーに基づいたスラグからのマグネタイト回収プロセスの構築
Project/Area Number |
15K14278
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
所 千晴 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90386615)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 資源循環 / 鉱物学的特性 / 固固分離 / 金属精製 / 固体分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,他元素が寄与しないように模擬スラグを用いて種々の検討を行った。スラグの基本組成であるFeO品位65 %,SiO2品位 35 %となるように,特級試薬のSiO2,電解Fe粉,Fe2O3を混合したものをアルミナるつぼ中で1300 ℃,1時間,Ar雰囲気下で電気炉を用いて溶解し,水砕処理したものを模擬スラグとした。 模擬スラグに対して,マグネタイト生成に対する生成量,結晶性,グレインサイズといった鉱物学的特性に対する温度履歴の影響を,MLA(Mineral liberation analysis)とXRDを用いて系統的に調査した。模擬スラグを1300 ℃で1時間溶融させた後に冷却速度を自然放冷(約16 ℃/min),10 ℃/min,3 ℃/minと1 ℃/minとして徐冷実験を行った。結果として,1 ℃/minの条件にてマグネタイトの析出量,グレインサイズが共に最大となった。 次に,温度保持を行うことでさらなるマグネタイトの結晶成長促進を試みた。最適保持温度を検討するため冷却速度は3 ℃/minで一定とし1300 ℃で模擬スラグを1時間溶解させた後に1050 ℃,1100 ℃,1150 ℃,1200 ℃にそれぞれ徐冷してから1時間温度保持させ,再度徐冷を行った。1100 ℃において温度保持を行った条件がマグネタイトのグレインサイズが最大となった。 最後に,最適保持時間を検討するため1100 ℃において1時間および3時間温度保持を行い,冷却速度は3 ℃/minおよび1 ℃/minで徐冷を行った。マグネタイトのグレインサイズは1時間温度保持を行った条件が増加し,3時間温度保持を行った場合減少する傾向が確認された。また,マグネタイトの析出量はどの条件においても変化がなく,保持時間に依存しないことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は模擬スラグに対して、温度履歴がマグネタイト生成量およびそのグレインサイズに及ぼす影響を系統的に調査する予定であったが、系統的な実験的検討は全て終了し、徐冷がマグネタイト生成量の増加およびそのグレインサイズの増大に効果的であること、ある程度の温度保持がグレインサイズの増加に効果的であることを定量的に明らかにすることができた。また、これらの検討を行うためのMLAを中心とした一連の固体分析方法についても確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度模擬スラグに対して明らかとなった条件を元に、種々の共存元素が存在する実スラグに対して同様の系統的な調査を行う予定である。実スラグに対しても、加温・徐冷処理の後に磁選による固固分離を実施する予定であり、例えばスラグ中のマグネタイトを鉄源として回収する際に忌避元素となるCuなどとの分離効率についても、系統的に調査する予定である。
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Causes of Carryover |
差額は153円と小さく、まとめて購入したことなどによる割引相当分である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の消耗品購入にあてる。
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