2015 Fiscal Year Research-status Report
2D,3Dイメージ用ガラス放射線検出器の新規な測定法の確立と放射線飛跡への応用
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15K14290
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
黒堀 利夫 金沢大学, 人間科学系, 教授 (90153428)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射線,X線,粒子線 / 放射線イメージング / ラジオフォトルミネッセンス / 蛍光ガラス線量計 / 空間分解能 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,放射線用‘蛍光ガラス線量計’の材料として知られている銀活性リン酸塩ガラス検出器からの青色ラジオフォトルミネッセンス(RPL)を用いた2次元(2D),3次元(3D)線量分布の新たな再構築法の提案とその実証を試みた。この提案は,本材料による線量測定・評価で用いられてきたオレンジRPLの代替として新たに青色RPLを用いるものである。この青色RPLの導入で,従来の熱処理炉による100℃,30分程度の‘プレヒート工程’が不要となった。さらにオレンジRPL(蛍光寿命,2300 ns)に比較して着目する青色RPLは蛍光寿命が5 nsと桁違いに短いため,リアルタイムでの線量分布イメージ読出しに繋がる。 次に,2つの異なる機能:1つは100 mmΦ程度の大面積の2D,3Dメージを迅速に収集可能な機能,もう1つは高速性よりむしろ数百nm程度の高い空間分解能で線量分布を可視化する機能を併せ持つ読取装置の構築を目指した。当該年度は,これらの機能を達成するため,各システムの改善と新たな拡張による構築とその評価を行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度中に実施・解決を予定している課題に対して,(1)青色RPLを用いることで‘プレヒート工程’が不要となることを実証した。これにより,発明の名称:「ラジオフォトルミネッセンスガラスのラジオフォトルミネッセンス測定方法及び装置」, 特許番号:第5707531号, 登録日2015.3.6の特許の裏づけができた。(2)受動型ガラス検出器による高速読出しの可能性に関して,直径100 mmΦ,厚さ1 mmのディスク型ガラス検出器に書き込まれたX線イメージ読取機を開発した。これにより高精細な2D,3Dイメージを空間分解能1ミクロン,時間5分程度で可視化できた。(3)'読取''プレヒート''消去工程'を光学処理で代替する課題において,'消去工程'を除き光のみでの処理が可能となった。(4)2つの異なる機能を有する読取機の構築について,大面積の線量分布情報を迅速に読出す機能は達成できたが,高い空間分解能を有するイメージの再構築と検出器の深さ方向の分布再構築については継続して取り組む状況である。しかし,現時点で4編の査読付欧文に発表していることから,総合的にみて,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の開発方向として,上記(4)のもう1つの課題である光学顕微鏡,高感度デジタルカメラ,Zモニタードライブを組み込んだ高空間分解能システムの構築を引き続き実施する。これが完成すれば,各種放射線(X線,ガンマ線,重粒子線)を照射した銀活性リン酸塩ガラス検出器内に形成される各種蛍光中心の分布の可視化と共にこの検出器の新たな知見が得られると考えている。さらに,異なる線種に対する飛跡の比較検討も可能となる。
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Causes of Carryover |
旅費,人件費・謝金の配分額を多く見積もり過ぎたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の助成金と合わせて物品費の購入に充てる。
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Research Products
(7 results)