2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14293
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
師岡 愼一 早稲田大学, 理工学術院, 特任教授 (10528946)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 熱流動 / 自然循環流量 / 過酷事故 / ナノ流体 / 溶融炉心冷却システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自然循環による溶融炉心冷却システムとナノ流体による限界熱流束向上そして自然循環流量促進効果を組み合わせることにより無電源による溶融炉心冷却を目指している。2016年度は、ナノ粒子、水そして気相で構成される多相ナノ流体の自然循環流量、ボイド率そして圧力損失測定試験、ナノ流体の表面張力・粘性係数測定試験、多相流体のボイド率、圧力損失を評価するモデル作成、多相ナノ流体の自然循環量を予測する手法構築そしてその手法により溶融炉心冷却システムの性能を評価した。ナノ粒子としては実機での使用実績などを踏まえてTiO2を選択した。溶融炉心冷却システムは色々な形状の流路で設計される可能性があるので、円管(内径10,25,36mm), 矩形管(1辺 10,25mm), テーパ管(拡大管、縮小管)の試験体を用い、広範囲なナノ流体の濃度範囲で試験を行った。その結果得られた結論を以下に示す。 ○水-TiO2ナノ流体の質量パーセント濃度0.01~0.05%の領域においては、表面張力は水よりも最大40%小さく,粘性係数は最大115%程度大きくなる測定結果が得られたが、その自然循環における流動特性(圧力損失分布、自然循環流量、ボイド率)は水単相とほぼ大差がなかった.すなわち,ナノ流体も水と同様に自然循環を起こし流動することができ,流路のつまり、などの問題もなく安定してその現象が起きることがわかった. ○本研究で構築した自然循環流量予測手法と自然循環流量測定データとの比較を行い、広範囲な試験体形状そして水-TiO2ナノ流体の質量パーセント濃度において、自然循環流量の測定値を十分な精度で予測できることを明らかにした。 ○本研究で構築した自然循環流量予測手法を実施者の研究室で考案した溶融炉心冷却システムに適用したところ、従来システムに比較して 最大2倍程度の除熱ができることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下に示す本研究の当初の実施事項は全て完了した。 ナノ粒子、水そして蒸気で構成される多相流体の自然循環流量の評価に必要な多相流体のボイド率、圧力損失を評価するモデル作成、試験データと比較する事により多相流体の自然循環量を予測する手法構築、その手法により溶融炉心冷却システムの性能評価。
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Strategy for Future Research Activity |
実施予定の試験、評価はすでに完了している。本研究の成果は、学会への投稿論文をすでに準備しており、2017年度に投稿を予定している。また、査読時の質問対応で追加実験の必要がある場合は、試験を行う。
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Causes of Carryover |
本研究で予定した試験および評価はすでに終了している。 この成果を公開するため、学会への投稿論文をすでに準備しており、2017年度に投稿を予定している。また、査読時の質問対応で追加実験の必要がある場合は、試験を行う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文の掲載費用そして追加試験費用にあてる。
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