2016 Fiscal Year Annual Research Report
Astrocytic control of behavior by optogenetic GPCR activation
Project/Area Number |
15K14326
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩井 陽一 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (40332332)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グリア光遺伝学 / G蛋白質共役型受容体(GPCR) / アストロサイト / グリア-ニューロン相互作用 / 記憶・学習 / 情動 / 神経調節物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
アストロサイトはGq、GsおよびGi/o型のG蛋白質共役型受容体(GPCR)を発現し、情動や記憶・学習を制御するノルアドレナリンやアセチルコリンなどの神経調節物質に応答する。しかしながら、これらのGPCR群の多くはニューロンでも発現しており、アストロサイト特異的なGPCRの機能解析はほとんど報告されていない。この課題を解決するために、本研究では光感受性をもつGPCR群をアストロサイトで発現するトランスジェニック(TG)マウスを樹立し、アストロサイト特異的にGPCR群を光活性化できる系を確立した。今年度は光感受性Gq型GPCRのTGマウスの行動実験を主に行った。 自由行動下で前頭前皮質を3分おきに経頭蓋LED照射した。新規オープンフィールド試験を行ったところ、TGマウスで移動距離が徐々に短くなることが分かった。また、条件付け場所嗜好性試験において、LED照射を与えた場所に滞在する時間が短くなる傾向があった。これらの結果から、アストロサイトのGq型GPCRシグナルが嫌忌刺激である可能性、あるいは、アストロサイトのGq型GPCRシグナルが場所記憶を促進し、その結果、場所新規性が減少し、滞在時間や移動距離が短くなる可能性が考えられた。そこで、物体記憶を評価する物体認識試験を行ったところ、TGマウスがLED照射時に提示した物体を二週間経っても記憶していることが示唆された。その一方、Y-迷路で評価される作業記憶はTGマウスで変化しなかった。以上の結果は、アストロサイトのGq型GPCRシグナルが記憶の長期化に寄与することを示唆している。
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