2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of fluorescent probe for visualization of neuronal connectivity and its application
Project/Area Number |
15K14329
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木下 暢暁 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (50391933)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / 神経回路 / 神経シナプス / 可視化技術 / 細胞間接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては当初の計画の通り、前年度に開発した蛋白質プローブ対を用いた神経シナプス接続の蛍光標識について検討した。まず、人工的に神経細胞を操作し易い海馬神経細胞の初代分散培養において試験し、神経細胞間のシナプス接続を標識できることを確認した。次に生体内での神経回路標識について、マウス脳における視床から大脳皮質への神経投射に注目し、検討した。大脳皮質へは胎児期の電気穿孔法により、視床へはその個体が成獣となった後にアデノ随伴ウイルスの脳定位注入法により蛋白質プローブを導入発現させ、結果として両者間のシナプス接続の標識が確認できた。さらに同様の既存手法と比較して高い感度を持つことから、神経回路の標識技術として広く応用が期待されると判断し、本プローブ分子を時期および部位特異的に発現できる遺伝子改変マウスの開発を行い、その作製に成功している。またそれに並行して本技術を応用した神経回路形成に関連する遺伝子の機能評価、解析に着手している。 研究期間を通じた総括としては、平成27年度にプローブ分子構造の最適化を行い、効率良く細胞間接触を標識できる分子対を開発し、平成28年度にはそれが高感度に脳神経回路の接続様式を描出できる技術であることを確認した。さらに本技術の応用に適した遺伝子改変マウスを作製した。本研究課題はほぼ当初の研究計画通りに進捗し、主題である効果的な神経回路標識技術の創出を達成することができた。 神経科学がより細分化された神経回路の機能解析を志向する一方で、特定の神経回路形成を標的とし、なおかつ遺伝学的制御可能な検出技術は極めて少ない。それら同様の手法に対して本研究課題において開発された技術はその簡便性、汎用性、検出感度に特長があることから、本研究成果は関連分野に大きな貢献が期待されるものと考えている。
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