2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K14332
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新明 洋平 金沢大学, 医学系, 准教授 (00418831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河崎 洋志 金沢大学, 脳・肝インターフェースメディシン研究センター, 教授 (50303904)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CRISPR/Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトなどの高等哺乳動物では大脳皮質は特に発達しており、表面には明瞭なしわ(脳回)が存在する。脳回の獲得は脳機能の発達の基盤であると考えられており、従ってその形成メカニズムの解明は神経科学の重要研究課題の一つである。しかし分子遺伝学的研究に用いられるマウスでは脳回は存在せずに、マウスを用いた解析が困難であるために脳回の形成機構は不明な点が多い。 イタチ科に属するフェレットは、脳回や眼優位性カラムなど高等哺乳動物に特徴的な発達した脳神経構築を持つことから形態学的および生理学的研究に多く用いられてきたが、分子遺伝学的研究は解析手法が確立されておらず遅れていた。そこで申請者の所属研究室ではこれまでにフェレットでの分子遺伝学的解析を可能とするために、子宮内エレクトロポレーション法を応用しフェレット大脳皮質への遺伝子導入を世界に先駆けて成功させてきた。次の大きな課題は、loss-of-function実験を行うための遺伝子ノックアウト技術の開発である。そこで本研究では、子宮内エレクトロポレーションとCRISPR/Cas9システムとを組み合わせることにより、フェレット大脳皮質特異的な遺伝子ノックアウト法の確立を行う。 Satb2遺伝子に着目して、最初に、マウス大脳皮質での遺伝子ノックアウト法の確立を試みた。マウス胎仔15日目の大脳皮質にSatb2に対するCRISPRコンストラクトを導入した。出生後5日目で脳を固定して、Satb2の発現を免疫染色により調べた。その結果、Satb2に対するCRISPRコンストラクトが導入された細胞のほとんどで、Satb2の発現が消失していた。これらの結果から、子宮内エレクトロポレーション法を用いたCRISPR/Cas9の導入により大脳皮質神経細胞において効果的に標的遺伝子をノックアウトできることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子宮内エレクトロポレーション法を用いたCRISPR/Cas9の導入により大脳皮質神経細胞において効果的に標的遺伝子をノックアウトできることを明らかにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後Satb2をノックアウトしたマウスの表現型解析を行う。さらに、Satb2のノックアウトフェレットを作成する。
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Causes of Carryover |
高額なフェレットを用いた実験を翌年度に行う方がよいと判断したため。当該年度は、安価なマウスを用いた実験を中心に行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は、主にフェレットの購入にあてる。
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