2015 Fiscal Year Research-status Report
体性感覚野ミニバレル領域の形態学的特徴が同領域の予想外の重要性を示唆する可能性
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15K14334
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
福田 孝一 熊本大学, その他の研究科, 教授 (50253414)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 体性感覚野 / バレル / マウス / 免疫組織化学 / パルブアルブミン / GABA |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は当初の計画に沿って、マウス一次体性感覚野におけるミニバレルの形態学的解析を行った。よく知られているバレル領域に隣接するミニバレル領域は、その広がりや個数、個々のミニバレルの大きさなど、基本的な性質もほとんど分かっていない。また、その全体像を捉えるための適切な標本作製法、具体的にはミニバレル領域における脳表面に平行な接線方向連続切片を、いかにして作成するかということも、最初に取り組むべき課題であったので、これらを追究した。VGluT2に対する免疫組織化学により描出したミニバレルは、脳の一側当たり約50~60個存在し、バレルの約2倍の数であった。次にバレルに存在する抑制性介在ニューロンの中で最も多いパルブアルブミン含有ニューロンの体積当たりの密度を定量的に検討した。バレル領域に隣接する26個のミニバレルを選び、比較対象として、13個のバレルを用いた。またバレル間のすき間の領域(セプタ)におけるニューロンについても解析を行った。ミニバレルの体積は、バレルの体積の37.5%であったが、パルブアルブミンニューロンの密度は、ミニバレル内部の値がバレル内部の2.0倍であった。さらにセプタにおける密度も、ミニバレル領域はバレル領域の2.2倍であった。バレルとセプタとの比較では、セプタにおける密度はミニバレル内部の密度の1.6 倍であった。以上のように、ミニバレルは数としてバレルの2倍、しかも個々のミニバレル内部にあるGABA作動性ニューロンの密度は2倍であり、ミニバレルはバレルに比べてよりfineは情報処理を実現している可能性が強く示唆された。このことは、動物の行動実験から推測されているミニチュア洞毛の機能と相関すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べたように、当初の研究計画通りに順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究成果をさらに発展させる。例数を増やし、より正確な定量的データを得る。さらにバレル領域のパルブアルブミンニューロンが樹状突起間にギャップ結合を形成し、網状構造を作っている性質が、ミニバレルにもあてはまるかどうかを追究する。またその形態学的特徴を、バレルや他の皮質野における特徴と比較する。
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Causes of Carryover |
予定した経費をほぼ支出したが、軽微な端数が生じ、それが次年度使用額となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度使用額をおおむね計画通りに使用する予定である。
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