2015 Fiscal Year Research-status Report
神経の微細観察系を新たに構築し、アンジェルマン症候群の病理解明を目指す研究
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15K14338
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
海老原 達彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (00344119)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経発生 / 神経病理学 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
アンジェルマン症候群は、重篤な発達遅滞を主症状にもつ、原因に染色体領域が特定されている疾患である。原因遺伝子がUbe3aと特定されており、先天性疾患としてはとりつきやすい部類と思われるが、病理に関する分子メカニズム解明が遅れている。一方、疾患の重篤なことから、少しでも治療効果が上がれば患者と家族のQOL上昇が見込まれている。本研究では、この疾患の病理研究で手薄な発症の分子メカニズム解明を最終目標として、その端緒として神経細胞レベルでの発症の再現とその病態可視化に挑戦する。そのために、以下二通りの流れで研究を進める。 「適切な神経観察系の構築」: マウスの海馬錐体細胞を胎児から培養し、核内遺伝子(主としてUbe3a)の可視化を目指す。FISHでの染色系を確立した上で、超解像顕微鏡での撮像を目指す。サンプルの厚さ、遺伝子の局在部位によっては、困難が予想される。同時に大気圧走査電子顕微鏡による観察も目指す。 「モデルマウスの作製」: UBE3Aの発現状態を可視化したASモデルマウスを作製する。
当初目標として上記を目指す。その上で、健常な錐体細胞におけるUbe3a遺伝子発現阻害による疾患再生、モデルマウスの海馬錐体細胞を用いた核内及び微細形態の解析へと進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
超解像顕微鏡による核内観察について、微細な画像を撮れていない。FISHプローブ自体の設計自体に問題がある可能性もあり、そこから再検討している。大気圧走査電子顕微鏡(ASEM)による核染色体の観察は行えたが、遺伝子の特定に至っていない。 モデルマウス作製について、ESの作製に難航してしまった。そこで、相同組み換え法ではなく、人工染色体組み込みの方向で検討している。 総じて、他の仕事に時間をとられてしまい、今年度はあまり本課題に注力できなかった。大変申し訳ない。
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Strategy for Future Research Activity |
仕事バランスの見直しにより、今年度は本課題へ注力可能となった。アンジェルマン症候群の研究を、今後のライフワークにしたく考えており、本課題の遅れも今年度に取り戻したい。 核内観察について、一定の進展がみられているASEMによる観察を先行させる。タングステンまたは白金染色及び電子ビーム強度などの条件を検討することにより、DNAメチル化や発現状態を反映する核内ドメインのASEMによる可視化を目指す。同時にFISHプローブの再設計等により蛍光画像の鮮明化、超解像顕微鏡による解析を目指す。一定の蛍光像が得られる染色条件を見つけられたところで、抗体或いはOs増感によって、ASEMによる遺伝子観察に着手する。 モデルマウス作製について、人工染色体作製に関するプロジェクトを急ぐ。
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Causes of Carryover |
仕事バランス上、本課題へ注力しきれず、研究が遅れた。それに伴って使うべき予算の使用も遅れてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
仕事バランスの改善により、今年度から,注力可能になった。FISH・電顕の染色液・神経培養用培地などの消耗品、人工染色体作製に関わる操作手順相談のための旅費に充当していく。
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Research Products
(3 results)