2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14364
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮部 貴子 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (10437288)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 痛み / サル / チンパンジー / 疼痛管理 / 表情 / 行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒトに最も近縁な非ヒト霊長類の、痛みに関する行動や表情を明らかにし、痛みの評価法について検証すること、特に痛みに関連する感情・情動に焦点を当てることを目的としている。H27年度には、マカクザルについては、ウェブカメラおよびデジタルビデオカメラを用いて、6例の他の研究目的の開腹手術と、子宮卵巣摘出、腹腔内膿瘍、異物除去手術などの症例の術後のビデオ撮影をした。現在、データ収集、解析用ソフトウェア「ジ・オブザーバーXT」を用いて、行動レパートリーを作成し、術後の経過ごとに行動レパートリーを観察している。表情については、ケージ内のサルでは、顔の写真を撮影することが難しいため、現在、小型カメラを用いて、ケージ内のサルの顔写真を撮影するシステムを製作中である。また、放飼場のサルの平常時の顔写真を撮影し、外傷等が発生したときに、当該個体の顔写真を撮影することとした。昨年度はアキレス腱断裂の症例があったため、その個体については、平常時および外傷時の顔写真を撮影することができた。他の研究目的の開腹手術6例については、尿サンプルも採取しており、尿中コルチゾールを測定する予定であるが、当初期待していたプロスタグランジンの関連物質については、残念ながら、げっ歯類において痛みの指標とするのは難しいとのことであった。一方、関節炎の老齢チンパンジー個体については、視覚的アナログスケール(VAS)を用いて痛みの評価を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度は、当初予定通り、痛みがあると想定される手術後や外傷治療前後の様子、および術前や治癒後の様子をビデオ撮影し、継時的に尿採取をおこなった。また、ケージ内のサルだけでなく、放飼場でのサルの顔写真撮影をおこない、ケージ内のサルでも顔写真を撮影できるシステムを製作中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらにサル類の痛みがあると想定される時、痛みがないと想定される時のビデオや顔写真を収集し、解析を進める。ビデオ解析は非常に時間がかかるが、なかなか集中して解析をおこなう時間が取れないことが課題である。この点については、実験補助者の雇用等、対応策を検討している。また、H28年度は、非ヒト霊長類とかかわっている人が、サルの痛みについてどのような認識を持っているかを検証するために、アンケート調査票を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
H27年度は、京都大学の実験補助者制度に採択されたため、実験補助者の人件費や謝金の支出がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、次年度分と合わせて、実験補助者の人件費や、イギリスの専門家へのコンサルティング費、情報収集のための学会参加費・旅費、解析ソフトウェア費として使用する予定である。
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[Presentation] Hypnotic effects and pharmacokinetics of a single bolus dose of alfaxalone in Japanese macaques (Macaca fuscata)2015
Author(s)
T. Miyabe-Nishiwaki, A. Kaneko, N. Suda-Hashimoto, Y. Indo, A. Ishigami, S. Aisu, A. Yamanaka, K. Nakamura, H. Akari, M. Okamoto, T. Fukui, K. Masui
Organizer
12th World Congress of Veterinary Anaesthesiology
Place of Presentation
京都
Year and Date
2015-09-01 – 2015-09-04
Int'l Joint Research