2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K14369
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松本 高広 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (70447374)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Y染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類における雄性化のプロセスは、Y染色体と男性ホルモン作用により制御される。近年、雄性化における内分泌制御についてはアンドロゲン受容体を介したリガンド依存的転写調節機構や生体内高次機能の詳細が明らかとなっている。一方、Y染色体遺伝子群に関しては精巣決定遺伝子SRYを除き、分子機能および生理機能の殆どが不明である。そこで本研究ではY染色体の非相同組み換え領域に座位するDBYおよび多コピー遺伝子RBMYの組織特異的遺伝子改変マウスを開発することにより、技術的に困難であったY染色体の生体内機能の解析系を確立し、ひいてはY染色体特異的RNAプログラムを介した雄性化機構の解明を目指すことを目的とした。1)標的相同部位が一カ所で組み換えを起こす原理に基づき、置換型ベクターに比べ高頻度で組み換えを起こす挿入型ベクターを用いDBY floxマウスの作出を試みた。ES細胞にてターゲティングを2回行う必要があるため、ネオマイシンとピューロマイシンを用いた2段階の相同組換え体選別法を構築し、相同組換え体の取得に成功した。2)GC-1細胞株を用いDBYのノックダウンおよび過剰発現により変動を受ける標的miRN群を同定した。3)多コピー遺伝子RBMYを標的とした人工miRNA(amiRNA)を構築し、培養細胞にてノックダウン効率を検討した結果、3種類の機能的amiRNAを取得した。これらをタンデムにつなげたamiRNA発現vectorを構築し、多コピー遺伝子の効率的ノックダウン法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Y染色体の95%は減数分裂時にX染色体と相同組み換えを起こさない非相同領域(雄性特異的領域)が占めることから、Y染色体は従来の置換型遺伝子ターゲティング法による遺伝子欠損マウスが作出されていない唯一の染色体である。また、Y染色体遺伝子欠損マウスは不妊を呈すると予想されるため、floxマウスを介した組織特異的欠損マウスを開発する必要がある。本年度は置換型ベクターを用いることでES細胞におけるDBY遺伝子座への2カ所のloxP配列の挿入に成功した。また、Y染色体常に30コピー以上存在するRBMYに対するmiRNAを人工的に設計し、Y染色体多コピー遺伝子を効率でノックダウンすることにも成功しており、平成27年度の研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては以下の実験に注力する。1)置換型ベクターを用いたDBY遺伝子座相同組換えES細胞から、凝集キメラ法によりfloxマウスを作出し、精巣特異的DBY遺伝子欠損マウスにおける表現型を解析する。また、CRISPR/Cas9システムを用い受精卵にてDBY遺伝子座へloxP配列を挿入し、floxマウスを作成する。2)DBY遺伝子欠損マウスの精巣サンプルを用い、RNA-Seq解析を施行し、変動する標的miRNAを検索する。3)RBMYを標的としたamiRNAベクターを用い、定法によりトランスジェニックマウスを作出し、特に減数分裂期におけるXY bodyの形成と変動する精巣特異的な選択的スプライシングアイソフォームを同定する。4)個体レベルでの評価が得られた標的RNAに関しては、in vitro processing assay系にて確かに基質であることを確定する。
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Research Products
(2 results)