2017 Fiscal Year Annual Research Report
A novel X-linked tumor supressor gene Nrk is involved in the regulation of the proliferation and development of mammary epithelial cells
Project/Area Number |
15K14378
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
傳田 公紀 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (50212064)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セリンスレオニンプロテインキナーゼ / 胎盤 / 乳腺 / がん / 周産期 / 遺伝子欠損マウス / 細胞増殖制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,がん抑制遺伝子産物である新奇なセリン/スレオニンキナーゼ NRK (Nik-related kinase) の生理機能解明を見据え,この遺伝子欠損がもたらす顕著な表現型のひとつである乳腺腫瘍発症に力点を置いて分子生理学的解析を行った。その結果,NRK遺伝子欠損によるプロテオミクス動態解析により発現変動するタンパク因子群が認められた。再現性を考慮し複数回の試行により,10あまりのリン酸化基質の可能性が期待されるタンパクスポットの質量分析を行い,Nrk欠損が発現に影響を与えると考えられる有意な細胞内タンパクを同定した。これら候補タンパク質は,細胞骨格形成や代謝,免疫に直接間接に関わることにより,細胞増殖制御に働くものと考えられる。これまでタンパク質分子間相互作用により単離された結合因子と免疫沈降法等により相互作用を確認したタンパクと合致するものも存在し,実際にNRKと標的タンパクがそれぞれどの領域で相互作用するのか検討中である。さらに,PhosTag等を用いてNRK遺伝子ノックアウトによる遺伝子産物量変動のリン酸化プロテオーム解析を行った。他方,乳腺組織の細胞増殖制御に働くシグナル伝達がNrk欠損個体で影響を受けている可能性を調べるため,組織学的解析を行った結果,乳腺組織内における上皮細胞の過形成を見出した。従ってNRKは哺乳動物個体において乳腺組織の発生分化過程で細胞の過増殖,ひいては発がんを抑止している可能性が示唆される。また,分娩前後に妊娠維持や分娩発来に関わるプロゲステロン(P4)等の血中濃度に有意な影響が認められないことから,培養細胞系でNRKが与るホルモン制御に対する影響を調べた。今後もNRKが乳腺上皮組織においてエストロゲン感受性細胞増殖シグナルを制御するメカニズムについてさらなる検討を進め,乳がん制圧に対する有効な治療法の一助となる発見を目指したい。
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