2015 Fiscal Year Research-status Report
相補性ペプチドによりがん指向性を賦与したステルス性酸化鉄ナノ粒子の開発
Project/Area Number |
15K14402
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川上 和義 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10253973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 誠一 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40311550)
阿部 敬悦 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50312624)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ステルスナノ粒子 / 相補性ペプチド / がん指向性 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、がんの新たな診断・治療法への応用を目指してナノ粒子の技術開発が進められている。これまでに我々は、自在なサイズコントロールが可能で、水分散性に優れた酸化鉄ナノ粒子を麹菌から得られた両親媒性タンパク質のRolAで被覆することでステルス化ナノ粒子を開発してきた。本研究では、乳がん細胞が高発現し、その腫瘍性増殖に関与する受容体型チロシンキナーゼのHER2に特異的に結合する相補性ペプチドをデザインし、酸化鉄ナノ粒子をそのペプチドとRolAの融合タンパク質で被覆することにより乳がん組織への効率的な送達を可能にする新規ステルス化がん指向性ナノ粒子の開発を目的としている。 今年度は、HER2の二量体形成と増殖シグナルの伝達に関わるドメイン2に対する16種類の相補性ペプチドをデザインし、合成オリゴペプチドを作製した。これらのペプチドを用いてHER2を高発現する乳がん細胞株の増殖への影響を検討したところ、細胞増殖抑制を示すものがいくつか見出された。これらのペプチドは、乳がん細胞の増殖を抑制する機能を併せ持つ相補性ペプチドである可能性が示唆された。さらに、RolAの立体構造解析から、K46以前のN末端がランダム構造を取り、相補性ペプチドの挿入部位として適する可能性のあることを予想することができた。 今後は、本研究によって得られた相補性ペプチドから乳がん細胞に強く結合するものを選択し、RolAとの融合タンパク質を作製することで、乳がんの新規治療薬を目指したステルス化がん指向性ナノ粒子の開発を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
相補性ペプチドのデザインとペプチド合成に予想以上の時間を要した。また、乳がん細胞への結合性を調べるための蛍光標識相補性ペプチドの合成に想定以上の経費を要することが判明したため、16種類の候補ペプチドの中から細胞増殖アッセイにより数個に絞り込んだ上で蛍光標識ペプチドを合成するように方法を見直した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究で乳がん細胞の増殖抑制を指標に相補性ペプチドの候補をいくつかに絞り込むことができたため、平成28年度では蛍光標識ペプチドの作製及びステルス化ナノ粒子への導入を急ぐとともに、当初の計画に従い担がんマウスモデルを用いた研究に移行する。
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Causes of Carryover |
乳がん細胞への結合性を調べるための蛍光標識相補性ペプチドの合成に想定以上の経費を要することが判明し、候補ペプチドの中から細胞増殖アッセイにより数個に絞り込んだ上で蛍光標識ペプチドを合成するように方法を見直したため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を合わせた予算で蛍光標識相補性ペプチドを合成し、ステルス化ナノ粒子に導入するペプチドを決定する。
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Research Products
(1 results)