2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the system for isolation of T-cell receptor like antibodies against tumor stem cells
Project/Area Number |
15K14405
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
磯部 正治 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (70211050)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | TCR様抗体 / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来のがん治療用抗体は細胞表面で発現する抗原分子を標的としてきた。しかし、がん細胞に選択的な発現を示す細胞表面分子の種類は限られていることから、標的抗原の枯渇が生じ、新しい治療用抗体開発の大きな障害となっている。これに対して、細胞内タンパク質由来の抗原ペプチドとクラスI MHC分子の複合体を認識するTCR様抗体は、細胞内で発現する様々な抗原分子を標的にできる点で大きな優位性を持つ。しかし、従来法によるTCR様抗体の取得成功率は極めて低く、治療薬開発用のTCR様抗体を確実に取得するための、高い実用性を示す手法開発が強く求められていた。 本研究では、独自開発の抗原特異的な抗体産生細胞取得技術と抗体産生単一細胞由来抗体迅速単離システムを応用することで、がん幹細胞を標的とするTCR様抗体迅速単離法の開発を行った。がんの根治療法を開発するためには、がん細胞とがん幹細胞の両者で選択的発現を示す抗原を認識するTCR様抗体の取得が強く求められる。そこで本研究では既知のがん抗原の中から、がん幹細胞でも発現が認められる抗原を選択し、MHCクラスI分子と抗原ペプチド複合体(pMHC)を認識する抗体の取得を行った。その結果、pMHCに対する高い親和性と高い特異性を示す、TCR様抗体を複数取得することに成功した。これらの抗体は、がん細胞ならびに、がん幹細胞を標的とする治療用抗体の開発シーズとしての利用が期待されると共に、本研究によって開発された抗体取得技術技術は、がん幹細胞を標的とするTCR様抗体の取得に大いに役立つと考えられる。
|