2015 Fiscal Year Research-status Report
Cyclin G1_PP2A-B’γの結合を阻害する新規な癌分子標的薬の開発
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15K14407
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野島 博 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (30156195)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Cyclin G1 / PP2A B subunit / ペプチド / 分子標的薬剤 / DNA二重鎖切断 (DSB) / がん遺伝子治療 / p53-S46 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の研究成果を得た。(1)ELAS1と同等な阻害効果をもつペプチドを化学合成して試験した。具体的にはELAS1の長さを、29アミノ酸から、どこまで短くできるかを調べた。そのために、ELAS1をN末端側から徐々に削った、22, 18, 14, 10, 9, 8, 6, 4, 2アミノ酸数からなるペプチドを化学合成して、培養昆虫細胞からの抽出液を基に作成されているTNT無細胞発現系を使って調製したMyc-CycG1とGST-PP2A-B’γとの結合を調べたところ、10アミノ酸数からなるELAS1ペプチドまでが結合阻害効果を持つことが判明した。そこで、これをELAS1_T(ten)と命名した。次いで、ELAS1_TをC末端側から徐々に削って、9, 8, 7, 6,5アミノ酸数からなるELAS1_Tペプチドを化学合成して、TNT_Myc-CycG1とGST-PP2A-B’γとの結合を調べたところ、ELAS1_T7が大きな阻害効果を持つが、ELAS1_T6とELAS1_T5はほとんど阻害効果を示さないことが分かった(2)肉腫細胞(U2OS)以外に、腺癌の一種である前立腺癌細胞(DU145)においてもELAS1は同等なアポトーシス誘導能を持つか否かFACS解析したところ、アポトーシスの指標である Sub G1の増加が観察された。DNA二重鎖切断を起こす抗癌剤であるIrinotecanを細胞培養液に添加した場合でもSub G1の増加が観察された。(3)扁平上皮癌の一種である舌癌(SAS)においても調べるため、Myc-VectorまたはMyc-ELAS1プラスミドを個別にDox誘導発現する細胞株を2種類(SAS_Myc-Vector、SAS_Myc-ELAS1)樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、これまでに使ってきたヒト肉腫細胞(U2OS)を用いて主とした研究を進めてゆく計画であった。ところが、U2OSは患者数の少ない骨肉腫の一種であるため、臨床的には一般性に乏しいのではないかとの懸念が持ち上がってきた。最初から細胞株を樹立する実験を再開するのは、それだけで半年くらいかかる実験なので、大変であったが、やはり臨床的な一般性が乏しければ、臨床応用を期待している本研究にとって好ましくないので、一念発起して患者数の多い腺癌の一種である前立腺癌細胞(DU145)においてもMyc-VectorまたはMyc-ELAS1プラスミドを個別にDox誘導発現する細胞株を2種類(DU145_Myc-Vecter、DU145_Myc-ELAS1)樹立する実験を開始し、見事に成功した。この成果ひとつをとってみても、当初の計画以上に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策のひとつとして、同時並行で扁平上皮癌の一種である舌癌(SAS)においても腺ELAS1は同等なアポトーシス誘導能を持つか否か調べるため、Myc-VectorまたはMyc-ELAS1プラスミドを個別にDox誘導発現する2種類(SAS_Myc-Vector、SAS_Myc-ELAS1)の細胞株樹立に成功した。これらを用いて、ELAS1のアポトーシス誘導能を扁平上皮癌においても証明したい。さらに、SAS_ELAS1 細胞のヌードマウス皮下への移植実験も進める予定である。一方、Myc-ELAS1を装備したアデノウイルス作製の計画も進展しているので、それが完成すれば、新たな癌遺伝子治療の実現に向けた基礎実験を進めたい。また、SAS細胞のようにp53 を欠損している癌細胞をもアポトーシス誘導するため、IRES1 を介してMyc-ELAS1とFlag-p53を同時に発現するSAS細胞株の樹立を進めたい。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Homeostatic control of Hippo signaling activity revealed by an endogenous activating mutation in YAP.2015
Author(s)
Chen Q, Zhang N, Xie R, Wang W, Cai J, Choi KS, David KK, Huang B, Yabuta N, Nojima H, Anders RA, Pan D.
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Journal Title
Genes and Development
Volume: 29
Pages: 1285-1297
DOI
Peer Reviewed
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