2015 Fiscal Year Research-status Report
ホップ由来プレニル化フラボノイドによるがん転移抑制と創薬展開
Project/Area Number |
15K14411
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
瀧田 守親 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80533455)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キサントフモール / がん細胞増殖抑制 / カスパーゼ-3 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はプレニル化フラボノイドのがん細胞への直接作用について検討を行った。マウス悪性黒色腫B16メラノーマ(B16)細胞、マウスLewis肺がん(LLC)細胞の各培養系にプレニル化フラボノイドのキサントフモール(Xh) を終濃度10~40 μMで添加して、1~3日間培養し、経時的にWST-8アッセイを行ったところ、いずれの細胞においてもXhの用量依存性にがん細胞の増殖が有意に抑制された。さらに、B16細胞にXhを終濃度1~3 μMで添加し、6日間培養してコロニーを形成させ、クリスタルバイオレット染色を行ったところ、Xhの用量依存的にB16コロニー数の減少が認められた。さらに、がん細胞死に対するXhの影響を調べるため、B16およびLLC細胞の培養系にXhを終濃度10~40 μMで添加して18時間培養し、アネキシンVおよびヨウ化プロピジウム(PI)による二重染色を行い、フローサイトメトリー解析を行ったところ、いずれの細胞においてもXhの用量依存的にアネキシンV+PI+の後期アポトーシスの細胞集団の増加が認められた。また、アポトーシスの実行分子であるカスパーゼ-3の活性化について検討するため、活性型カスパーゼ-3を特異的に検出できるFLICA660-DEVD-FMKの蛍光プローブを用いて染色を行い、フローサイトメトリー解析を行ったところ、いずれの細胞においてもXhの用量依存的に活性型カスパーゼ-3を発現する細胞集団の増加が認められた。これらの結果より、Xhはがん細胞に直接作用し、カスパーゼ-3の活性化を介したアポトーシスの亢進により、転移性がん細胞の増殖抑制活性を示すことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はがん細胞に対するプレニル化フラボノイドの直接作用について調べるため、がん細胞の培養系を用い、キサントフモール(Xh)の添加実験を行った。その結果、Xhはがん細胞に直接作用し、カスパーゼ-3の活性化を介したアポトーシスの亢進により、がん細胞の増殖抑制活性を示すことを明らかにし、転移性がん細胞の増殖を抑制できるプレニル化フラボノイドの候補としてXhを見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は次の通りである。(1)固定がん細胞とマウス皮膚線維芽細胞の共存培養系における血管新生因子の産生に対するキサントフモール(Xh)の影響をELISA法により調べる。(2)固定がん細胞上で、マウス骨芽細胞および骨髄細胞との共存培養による破骨細胞形成実験を行い、Xhの処理により、がん細胞の接着による骨芽細胞の破骨細胞分化因子の発現とそれに伴う破骨細胞形成の亢進が抑制されるか否かを調べる。(3)マウスの器官培養系にがん細胞を共存させ、Xhを添加し、がん細胞による組織破壊に対するXhの効果を調べる。(4)B16細胞をマウスに移入して、全身転移系、皮下腫瘍形成系などを作製し、Xhの投与実験を行い、in vivoにおけるがんの増殖・転移に対するXhの効果を調べる。これら実験系により、がんの転移と増殖に対するプレニル化フラボノイドの有効性の立証を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた状況として生化学試薬などの購入に充当できず、次年度に使用することが極めて適当と判断した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費の使用計画として、生化学試薬や実験動物(マウス)などの購入を予定している。
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