2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15K14432
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
畑田 出穂 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (50212147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀居 拓郎 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (00361387)
森田 純代 群馬大学, 生体調節研究所, 研究員 (40589264)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 偽遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年microRNA(miRNA)やlncRNA(long non-coding RNA)などの non-coding RNA(非コードRNA)の研究はかなり進み、機能が明らかになりつつある。それに比べ同じnon-coding RNAでも偽遺伝子の研究は、機能しないものとみなされあまり研究が進んでこなかった。しかしながら最近、特定の偽遺伝子が癌で増幅していたり欠失していたりすることが報告されており、なんらかの機能が示唆される。申請者は次世代シーケンサーによるRNA-Seqのデータを解析することにより、プロセス型(レトロトランスポゾン型)偽遺伝子の多くが親遺伝子(祖先遺伝子)の発現と相関することをみいだした。この研究では、この偽遺伝子と親遺伝子の干渉現象のメカニズムを明らかにするとともに、偽遺伝子の機能についても明らかにする。申請者らは24匹のマウス白色脂肪のRNAを次世代シーケンサーを用いて解析(RNA-Seq)し、301個の偽遺伝子で発現を認めた。そのうちレトロトランスポゾンの逆転写酵素によってDNA配列がゲノム内に挿入されて作られる、いわゆるプロセス型偽遺伝子156個について、その親(祖先)遺伝子との発現がどのような関係にあるかを調べた。その結果、興味深いことに親遺伝子との相関係数はランダムに選んだ遺伝子とくらべて優位に高い(P=1.8 x 10-5)ことがわかった。偽遺伝子と親遺伝子の転写調節領域が異なることを考えると、偽遺伝子と親遺伝子のRNA間の干渉作用が考えられる。興味深いことに癌抑制遺伝子PTENの偽遺伝子であるPTENP1を強制発現するとPTEN RNAを安定化し癌抑制効果があることが報告されている。この効果はPTEN3’UTRをターゲットとするmiRNAの効果をPTENP1強制発現により弱めることによる。申請者らのデータはこのようなmiRNAを介した偽遺伝子と親遺伝子の干渉作用が多くの偽遺伝子でおこっていることを示唆する。
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