2015 Fiscal Year Research-status Report
リボソームにおけるK63ユビキチン化と新規ユビキチン鎖形成促進機構の解析
Project/Area Number |
15K14446
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒川 裕美子 東京工業大学, 情報生命博士教育院, 特任助教 (10381633)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ユビキチン / RNA / DNA / ポリユビキチン / K63 |
Outline of Annual Research Achievements |
K63鎖ポリユビキチン化による細胞内機能制御、ならびにポリユビキチン鎖形成促進メカニズムに着目し研究を進めている。 分裂酵母を用いた解析から、リボソーム結合タンパク質Cpc2の免疫沈降複合体中にはリボソーム小サブユニットとともに未知のユビキチン化タンパク質が存在していることをこれまでに見出している。Cpc2がUbc13/Mms2と2-hybridで相互作用することから、リボソームによる翻訳機構の制御にK63ユビキチン化が関わる可能性がある。そこで、Cpc2複合体中にK63ユビキチン鎖が含まれているかどうかを、K63ユビキチン鎖特異的抗体を用いて検討した。しかしユビキチン化タンパク質量が微量なこともあり、現在までに明確な結果は得られていない。そこでCpc2複合体の精製をスケールアップし、得られた複合体をウェスタンブロットならびに質量分析で解析する準備を進めている。これによりK63鎖の存在だけでなく、複合体中のタンパク質を網羅的に解析することが可能になると期待される。Mms2破壊株やUbc13破壊株を用いた解析も進めている。 またin vitro のUbc13/Mms2依存的K63ユビキチン鎖形成反応が、あるbuffer条件下においてRNAやDNAによって強く促進されることをこれまでに見出している。この促進メカニズムを明らかにするために、核酸の長さや配列依存性などを検討した。その結果、核酸の長さが促進に影響すること、配列依存性はみられないことが明らかになった。次に、Uba1、Mms2、Ubc13、UbのDNA結合能を解析した。その結果、Ubc13/Mms2ヘテロダイマーにした場合にバンドがシフトしたことから、Ubc13/Mms2が直接核酸に結合することが反応促進に重要であると考えられた。現在は構造データを参考に、核酸との結合に重要な残基の探索を進めている。これからの解析がさらに進むことによって、将来的には核酸によるK63ユビキチン鎖形成促進の生物学的意義にまで理解が進むことを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroのUb化アッセイに関して予定していた実験はほぼ完了し、核酸による促進についてUbc13/Mms2の核酸結合が重要であることを明らかにできた。この知見はこれまでに報告例もなく、新しい発見であり、インパクトも大きい。さらにvivoでの意義が明らかにできれば、この分野のさらなる発展が期待できる。今後の展開が大いに期待される。 一方で、リボソームにおけるK63ユビキチン化の解析があまり進んでおらず、これが今後の課題となっている。日々解析方法や試薬などの技術進化が進んでおり、積極的に情報を取り入れるように心掛けている。その中でも期待されるのは質量分析法である。複合体精製プロトコールは確立できたので、こちらも順調に遂行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Ubc13/Mms2と核酸の結合解析を進めていくが、in vitroのアッセイ系が現在順調に動いており、今後はin vivoの解析にも重点をおきたい。 設備環境面では分裂酵母をラージスケールで高効率に破砕することが可能になった。複合体を用いた解析を積極的に進めていきたい。 また、分裂酵母で見られた本結果について、ヒトや出芽酵母のin vitroユビキチン化系を用いた解析で普遍性を検討したい。
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