2015 Fiscal Year Research-status Report
生殖細胞増殖分化制御におけるRNAスプライシングの新規機能
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15K14451
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂本 博 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00187048)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | RNA / 生殖細胞 / スプライシング制御 / 細胞増殖 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖細胞は次世代を生む特別な細胞であり、その増殖・分化機構の解明は生命科学の最重要課題の一つである。生殖細胞の増殖・分化過程における転写制御や翻訳制御の重要性は、これまでの研究から明らかになっている。申請者は、生殖細胞の増殖・分化過程においてスプライシング制御も重要であると新たに着想し、これを制御するリン酸化酵素SPK-1に着目した結果、その重要性を示す知見を得た。これに基づいて、本研究では線虫C. elegansの生殖腺発達過程をモデルに生殖細胞の増殖・分化過程に働くスプライシング制御を包括的に明らかにするとともに、増殖開始シグナルとスプライシング制御をつなぐ未知の経路を解明することにより、生殖細胞の増殖・分化機構の理解に新たな概念を加えることを目指している。 平成27年度は、次世代シーケンサーによる網羅的解析を実施するため、SPK-1のリン酸化阻害剤である低分子コンパウンドを用いた試料調製法を検討したが期待された結果は得られなかった。一方で、SPK-1の発現阻害によって、スプライシング制御に必須なSRタンパク質群のリン酸化レベルが著しく低下することを明らかにした。この結果は、SPK-1がスプライシング制御因子群の活性調節において包括的な役割を担うことを示している。また、次世代シーケンス解析に先行して、生殖細胞の分化段階で司令塔的な役割を果たすGLD-1について発現解析を行なった結果、SPK-1の発現阻害によりGLD-1の発現上昇が誘導されることを見出した。しかしながら、gld-1 mRNAのスプライシングパターンには変化が見られなかったことから、SPK-1は更に上流の因子のスプライシング制御を介して、GLD-1の発現調節を行なっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次世代シーケンス解析において試料調製に難航した。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAi法を改良し、より効率的なSPK-1の発現阻害個体の調製が可能となった。この方法を活用して、難航していた試料調製段階を克服し、計画を推進する。
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Causes of Carryover |
予定していた試薬の納入が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は当該試薬が納入可能になったので使用する。
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Research Products
(4 results)