2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14453
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
洪 実 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50631199)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 啓一郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30508114)
洪 繁 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (90402578)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | Zscan4 / ES細胞 / 減数分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
Zscan4が一過的に陽性となる”2-cell like state” ES細胞は、telomeraseに依存しないテロメア伸長が誘発されるなど通常の体細胞系譜では見られない遷移状態にあると推定される。Zscan4は本来着床前初期胚2細胞期に限定して強く発現されることが判明しているが、着床前初期胚2細胞期あるいはES細胞以外にZscan4を介在する同等の機構を利用する他の組織/細胞系が存在するか否かについて検討した。具体的にはZscan4遺伝子座にレポーターGFPまたはCreERT2をノックインしたES細胞を樹立し、細胞系譜の追跡を可能とするノックインマウスの作製を行った。なおZscan4をコードする複数のパラログ遺伝子とpseudo遺伝子が7番染色体7qA1の900kbにわたる領域にクラスターしているので、このうち全長を維持しているZscan4c, Zscan4d, Zscan4f遺伝子についてレポーターGFPノックインマウスの作製についても着手した。またこの遺伝子クラスターは互いに高度に相同なDNA塩基配列で構成されているため、通常のgene targeting法では組換えES細胞を容易に得ることが出来ない。従って、組換えES作製時における偽陽性targetingを回避するため、Crisper-cas9システムを用いてZscan4遺伝子領域をeditingする。作製に当たっては、Zscan4遺伝子クラスターの中でも、固有の配列特徴を有する第二intron配列中に特異的なguide RNAをデザインしてノックインを行った。本研究では、Zscan4遺伝子座に組み込まれたレポーターGFPの発現を指標に、一過的にでもZscan4遺伝子座が発火するような限定的な組織・細胞の同定を行うことで、従来の免疫組織染色解析で見落とされる可能性のある少数の細胞種を容易に検出するのみならず、生細胞をFACSで分離回収して1細胞レベルでの解析を可能とする。これらのマウスを利用してZscan4陽性細胞の同定について検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Crisper-cas9システムを用いたゲノムediting により、Zscan4c遺伝子座にGFPレポーターまたはCreERT2をノックインしたES細胞を樹立した。作製に当たっては、Zscan4遺伝子クラスターの中でも、固有の配列特徴を有する第二intron配列中に特異的なguide RNAをデザインしてノックインを行ったのが偽陽性targetingを回避において功を奏したと思われる。さらにそれらES細胞クローンを用いてキメラマウスを作製し、細胞系譜の追跡を可能とするノックインマウス系統の樹立を行った。Zscan4c遺伝子座にGFPレポーターをノックインしたマウスを用いて、Zscan4陽性細胞の組織での検討を行った。また、細胞系譜追跡の目的で、Zscan4c遺伝子座にCreERT2をノックインしたマウス系統とBrainbowマウスまたはROSA26-LacZマウスとの交配を行って、解析の準備を進めた。 なおZscan4をコードする複数のパラログ遺伝子とpseudo遺伝子が7番染色体7qA1の900kbにわたる領域にクラスターしているので、このうち全長を維持している他のZscan4d, Zscan4f遺伝子についてレポーターGFPノックインマウスの作製についても着手したが、これらについては今のところ陽性のクローンが得られておらず現在も作製が進行中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
Zscan4遺伝子座はそれをコードする複数のパラログ遺伝子とpseudo遺伝子が7番染色体7qA1の900kbにわたる領域にクラスターしているため、従来より通常のgene targetingが困難とされていた。今回樹立されたZscan4c遺伝子座GFPレポーターまたはCreERT2をノックインしたES細胞およびマウス系統はこれまで攻め倦んでいた解析を可能にした点で進歩は大きい。特に、本研究ではZscan4遺伝子座に組み込まれたレポーターGFPの発現を指標に、一過的にでもZscan4遺伝子座が発火するような限定的な組織・細胞の同定を行うことで、従来の免疫組織染色解析で見落とされる可能性のある少数の細胞種を容易に検出するのみならず、生細胞をFACSで分離回収して1細胞レベルでの解析を可能とする。既にZscan4遺伝子がmRNAレベルで他の組織で発現しうるという予備データが得られているので、これを裏付けるためにこれらのノックインマウス系統を駆使してZscan4陽性細胞を含む組織の同定と細胞系譜の追跡について検討を行う。 なお今のところ陽性のクローンが得られていないZscan4d, Zscan4f遺伝子GFPノックインマウスの作製については、Crisprのシステムを変更して引き続き作製を検討する。
|
Causes of Carryover |
本年度使用額については、可能な限り当該助成金を計画的に使用するように勤めましたが、年度末に残金が発生してしまいました。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
残金165円については、次年度分と合わせて計画的に使用いたします。
|