2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14457
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内山 進 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90335381)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 蛍光ラベル化 / 蛍光超遠心 / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体医薬の体内での効果予測を最終目標に、Ex vivo 相互作用解析として、血清中での抗原、抗体、抗体Fc 受容体の相互作用解析を行うことを目的とし、研究を行った。本年度は、蛋白質の蛍光ラベル化条件の最適化と、蛍光ラベルされた蛋白質複合体についての蛍光超遠心沈降速度法を血清中で行った。蛍光ラベル化については、蛍光色素としてAlexa488を用いて、アミンカップリングによる抗体の蛍光ラベル化を行った。蛍光ラベル化反応により、通常時には存在しない凝集体が確認されたため、サイズ排除クロマトグラフィーによりラベル化された単量体のみを精製した。その後、蛍光ラベル化を行った抗体について、蛍光超遠心沈降速度法を行った。まずは、蛍光ラベル化抗体について、リン酸緩衝液中での測定を行った。その結果、抗体濃度 nMオーダーでの測定に成功した。測定濃度は、吸収を利用した超遠心沈降速度法と比較すると1000倍程度薄い。次に、抗体濃度が数nMの溶液について、血清中での測定を行ったところ、解析可能な沈降パターンの取得に成功し、分散状態が判明した。このことにより血清中でも複合体形成の確認が可能となった。実際、血清中で、抗原を加えたところ、抗体-抗原複合体の形成が確認された。これらの結果が示すように、蛍光超遠心沈降速度法を利用した血清中での抗原、抗体、抗体Fc 受容体の相互作用解析法の確立に成功したと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の当初計画通り、蛋白質の蛍光ラベル化条件の最適化と、蛍光ラベルされた蛋白質複合体についての蛍光超遠心沈降速度法を血清中で行った。 その結果、リン酸緩衝液中、血清中での抗体分子の測定、解析に成功し、さらに、血清中での抗原を加え、抗体-抗原複合体の形成も確認された。こうして、蛍光超遠心沈降速度法による血清中での抗原、抗体、抗体Fc 受容体の相互作用解析を行うための測定法の確立に成功したことから、当初計画通り、順調に進展している、と言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
抗体、抗原、受容体、それぞれを蛍光色素でラベル後、血清中でEx vivo 蛍光超遠心分析(FDS-AUC-SV)を行う。抗体、抗原、受容体について観測を行い、得た沈降プロファイルを同時に満たす複合体の沈降係数、分子量、および量比を求め、その結果から化学量論と親和定数を決定する。また、抗体溶液に攪拌ストレスを与え凝集体を作製、クロマトグラフィーで分画後、凝集体を蛍光ラベルしたうえで血清中投入し、抗原およびFc 受容体との結合を測定し、凝集体が血中での相互作用に与える影響を解明する。
|
Causes of Carryover |
蛍光ラベルの効率が予想以上に高く、蛍光ラベルした抗体を当初の予定よりも十分に得ることが出来たため、ラベル化のための抗体を追加購入しなくても良くなったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験条件を追加し、抗体を追加で購入して、蛍光ラベルを施した後、実験を行う。
|