2015 Fiscal Year Research-status Report
多次元フローサイトメトリー法によるシグナル分子修飾の解析
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15K14459
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川本 智 神戸大学, 学内共同利用施設等, 技術専門職員 (60457116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 哲史 神戸大学, 学内共同利用施設等, 助教 (40379483)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フローサイトメトリー / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は多次元フローサイトメトリー法(細胞内シグナル伝達分子の動態と細胞生理現象の複数パラメータを同時に測定する手法)の確立を目的としている。H27年度の実験計画は1. 1次元フロー解析法の確立、2. 解析ソフトウェアの開発 であった。1. 1次元フロー解析法の確立については、遺伝子発現測定法、ミトコンドリア活性測定法、細胞内局在の3種類の解析法の確立を予定していた。遺伝子発現測定法の確立を行うにあたり、ヒトメラノーマ細胞株WM98-1系統を用い、TPA刺激による転写因子STAT3の標的遺伝子の発現の解析を行った。標的遺伝子のmRNAに相補的なDIGラベルしたプローブを設計し、蛍光標識した坑DIG抗体を用いて、Flow cytometry - Fluorescence in situ Hybridization(Flow-FISH)法を行い、遺伝子発現の検出を試みた。細胞の固定処理や透過処理について様々な条件を検討した結果、Locked DNA (LNA)を組み込んでTm値を上昇させた短い配列のプローブを用いる事により、非特異的な結合を抑えると共に細胞中のタンパク質を分解する処理を行わずに遺伝子発現を検出する事ができた。この事により、遺伝子発現測定法については次年度以降に予定している多次元フロー法に適用しうる解析条件の1つを確立することができた。 2. 解析ソフトウェアの開発 については、すでに確立しているリン酸化レベル(2パラメータ)と細胞周期(1パラメータ)を同時測定したデータを用い、解析結果を3次元グラフ化することを検討した。その結果、R言語を用いることにより、フローサイトメーターから取り込んだ測定データを3次元グラフ化する事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度につき、研究環境の構築に時間を費やしたため、当初の予定であったミトコンドリア活性測定法、細胞内局在の測定法については実施することができなかった。現在は研究環境が整っているため、次年度に遅れを解消する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、今年度実施する事ができなかった1次元フロー法(ミトコンドリア活性測定法、細胞内局在の測定法)の確立に取り組み、それらの測定法及び遺伝子発現測定法を用いて多次元フロー解析を行うにあたっての条件の至適化を行う。至適化が終わった測定法を複数用いて多次元フロー法の確立を進めると共に、パスウェイ解析を並行して行う。ソフトウェア開発については、グラフ表示の最適化及び入出力インターフェースの改善を進める。また、パラメータが増えた場合の測定結果表示法について取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
今年度に予定していた研究計画(1次元フロー法のうち、ミトコンドリア活性測定法、細胞内局在の測定法の確立)の一部が実施できず、次年度に行う必要が生じたこと及びそれに伴って研究発表計画を延期したため、研究費の使用計画を修正した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度から繰り越した研究経費は、H28年度分として請求した研究経費と合わせ、今年度繰り越した研究(1次元フロー法の確立の一部)、当初からH28年度に予定していた研究(多次元フロー法の確立)に使用する消耗品費、及び研究成果発表のための旅費に使用する予定である。
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