2016 Fiscal Year Research-status Report
Cryo-BioSAXSによる高精度タンパク質溶液構造解析
Project/Area Number |
15K14467
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
清水 伸隆 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (20450934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平木 雅彦 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 機械工学センター, 准教授 (20282676)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | SAXS / クライオ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は100K等の低温で凍結させたタンパク質溶液試料のX線小角溶液散乱測定を行い、放射線損傷の影響を受けない散乱曲線を得て、溶液中分子の概形構造を解析することを目的としている。溶液散乱では、標的分子を含む溶液試料の散乱強度から標的分子のみを含まない溶液試料(バックグラウンド溶液)の散乱強度を差し引くことで、標的分子からの散乱強度を得て解析することになる。そのためには基本的に入射X線に対して試料厚みが同じであることが必須であるため、凍結状態でも厚みを制御できるような試料セルの作成を目指していた。しかしながら、前年度のテストにおいて、低温窒素ガス吹き付け装置が故障したため、予定していた実験系で研究を遂行することが難しくなった。そこで、低温ガスを直接資料セルに吹きつけるのでは無く、低温の窒素ガスを循環させたステージと試料セルを接触させ、間接的に試料を冷却する機構を持つ装置を導入し、研究を再開した。光路長1mmのステンレス製セルに窓材として厚み10umのポリエーテルイミドの膜を使用し、グリセロールを抗凍結剤とした場合の抗凍結能を検証した。グリセロール濃度を5~50%の間で5%ずつ変更し、0~-50℃の間で5℃ずつ温度を変化させながらX線散乱測定を実施した。その結果、グリセロール濃度35%以下では温度が降下すると六方晶の氷由来の散乱が観測されたが、40%以上ではそれはなかったが温度がさらに降下するとバックグラウンドレベルが急激に上昇した。水が六方晶とは異なる相状態に変化したと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
低温ガス吹き付け装置の故障により、計画の再考が必要となった。現在、別装置を調達して研究計画を再起動している。新たな系での実験に着手し次年度のプランが確立しつつある状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
冷却方法の再検討を行いつつ、実際の試料を用いて、放射線損傷に対する効果に関して研究を進める。セルに関しては、前年度に使用したタイプで問題ない様だが、冷却方法を工夫することで、グリセロール濃度40%程度でも173K以下の低温で利用出来ることを目指したい。
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Causes of Carryover |
装置の故障により研究計画の再検討を余儀なくされた。その状況に応じて予算計画を変更する必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画の再構築に伴い、予算使用計画も定まった。順次執行する計画である。
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