2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K14477
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 健一 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 准教授 (50423059)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | GPIアンカー型タンパク質 / EGF受容体 / 1分子観察 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近我々は、1分子観察法を駆使して、GPIアンカー型受容体CD59をリガンド刺激後に形成される安定な4量体に、細胞内からシグナル分子が1回あたり0.1-0.5秒程度の短時間しかリクルートされてこないことを発見した。一方、細胞全体のシグナルは、数分から数十分は続いているように見える。これらの結果から我々は、「細胞膜受容体を刺激後、長く続くように見える細胞全体のアナログシグナルは、1分子レベルで見ると0.1-0.5秒程度の時間しか続かないパルスのような短期間のシグナルが積算されて作られる。」とする仮説を立てた。 この仮説を検証するために、まず、プローブの作成に着手した。刺激後のCD59の4量体へリクルートされるPLCgammaの活性化を1分子FRET法で可視化するプローブの作成を行った。また、同様にして刺激後のCD59の4量体にリクルートされるシグナル分子であるSrc family kinaseのmutantとATTO594-ATPアナログの作成を行った。 FRETプローブの作成と同時に、上記の系がうまく行かなかった場合のバックアッププランをとして、EGF受容体(EGFR)への信号分子のリクルートの1分子観察を行った。まずは、Grb2-GFPのEGFRへのリクルートを観察したところ、CD59会合体へのシグナル分子のリクルート同様に、0.5秒以下の時間しか続かず、パルス状であった。この結果は、細胞全体で見ると長時間続くシグナル伝達が、1つずつの分子で観察するとパルス状のシグナル伝達となっていることをさらに裏付けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で記述したように、刺激後のCD59の4量体の下流のシグナル分子であるPLCgamma, Src family kinaseの1分子FRETプローブを作成することができた。さらに、ATTO594-ATPアナログの細胞内への導入方法を確立できたので、CD59刺激後のパルス状シグナル伝達の1分子可視化計画は、順調に進んでいるといえる。 また、バックアッププランとして行ったEGF受容体(EGFR)系でも顕著な進展が見られた。すなわち、EGFR刺激後の下流の信号分子、Grb2のリクルートが非常に短期間しか起こらないことも観察され、パルス状シグナルの例が増え、一般化できる可能性も出てきた。EGFRの系の研究も順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞中でシグナル分子の活性化を1分子FRETにより観察していく。FRET効率向上のために、リンカーの長さを最適化する。また、1分子FRET観察のために細胞内でのシグナル分子の発現量を低く抑えていく。また、1分子FRET観察と同じ条件下で、細胞全体のバルクシグナル強度をWestern blottingにより測定していく。 また、Grb2以外のEGFR下流のシグナル分子、例えば、RasとRafの結合を1分子FRETで観察し、シグナル伝達がパルス状に起こるかどうかを検証する。また、Rafのすぐ下流ののシグナル分子であるMEKのリン酸化の経時変化をWestern blottingで調べ、パルス状シグナルとバルクシグナルの相関を検証していく。
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[Journal Article] Raft-based interactions of gangliosides with a GPI-anchored receptor2016
Author(s)
Naoko Komura*, Kenichi G. N. Suzuki*, Hiromune Ando* (*equal contribution), Miku Konishi, Machi Koikeda, Akihiro Imamura, Rahul Chadda, Takahiro K. Fujiwara, Hisae Tsuboi, Ren Sheng, Wonhwa Cho, Koichi Furukawa, Keiko Furukawa, Yoshio Yamauchi, Hideharu Ishida, Akihiro Kusumi and Makoto Kiso.
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Journal Title
Nat. Chem. Biol.
Volume: 12
Pages: 402-410
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Confined diffusion of transmembrane proteins and lipids induced by the same actin meshwork lining the plasma membrane2016
Author(s)
T. K. Fujiwara, Iwasawa, K., Kalay, Z., Tsunoyama, T. A. Y. Watanabe, Y. M. Umemura, H. Murakoshi, K. G. N. Suzuki, Y. L., Nemoto, N. Morone, A. Kusumi
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Journal Title
Mol. Cell Biol.
Volume: 27
Pages: 1101-1119
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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