2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14480
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
古川 良明 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (40415287)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金属タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、亜鉛イオン結合タンパク質に亜鉛イオンを供給する「亜鉛シャペロン」を同定することを計画している。これまでに、銅イオンを銅タンパク質に供給する銅シャペロンタンパク質については報告があるものの、亜鉛イオンについては報告がない。そこで本年度は、亜鉛イオンを結合する銅・亜鉛スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD1)に着目し、酵母ツーハイブリッド法を利用することで、SOD1への亜鉛シャペロンの同定に挑戦した。まず、Clontech社より販売されているMatchmaker Goldシステムを利用して、SOD1をBaitとし、ヒトに発現するタンパク質ライブラリーからPreyとなるタンパク質の探索を試みた。しかしながら、SOD1が有する二量体形成能のために、Bait-Preyの適切な相互作用を実現することができず、SOD1との相互作用タンパク質を得ることができなかった。そこで、SOD1が金属イオン結合、及び、ジスルフィド結合の形成によって二量体化することを考慮して、それらが施されず、単量体化した変異体を用いてスクリーニングを行った。しかし、変異の導入によりSOD1タンパク質の構造安定性が低下したためか、酵母内にて速やかに分解されると考えられ、SOD1との相互作用タンパク質を得ることができなかった。そこで現在、SOD1を断片化させることで得られる幾つかのペプチドをBaitとして、GAL4-DNA結合ドメインと融合させて出芽酵母内に発現させ、それらと相互作用することができるタンパク質のスクリーニングを試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画において、当初の予定通り、出芽酵母を利用したSOD1との相互作用タンパク質スクリーニングのシステムを立ち上げることができた。よって、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
SOD1をBaitとした酵母ツーハイブリッドシステムを構築することができたものの、スクリーニングの結果として有用なPreyタンパク質を得ることができなかった。詳細な検討を行ったところ、酵母内でのSOD1の発現量が比較的低く、Preyタンパク質との相互作用を効率よく検出できていない可能性が考えられた。よって、現在は、プロモータを変更することでSOD1の発現量を増大させることで、より効率よくSOD1との相互作用タンパク質を検出し、亜鉛シャペロンとしての機能について検討を予定している。
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Causes of Carryover |
過年度にはSOD1をbaitとした酵母スクリーニングシステムの開発に成功したものの、SOD1の発現量に問題があり、効率よくPreyタンパク質を検出することができなかった。そのために、大規模なスクリーニングにはまだ展開しておらず、それらに必要となる物品の購入を行っていない。そのために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、SOD1の発現量を改善して増大させる手法を検討しており、問題解決の後に大規模スクリーニングを行う予定である。そこで本年度は、スクリーニングを行うために必要となるcDNAライブラリーや、インキュベーターなどの購入を計画している。
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Research Products
(10 results)