2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14486
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
広瀬 侑 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30616230)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フィトクロム / シアノバクテリオクロム / 光スイッチ / 合成生物学 / オプトジェネティクス / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、シアノバクテリアの光スイッチタンパク質の吸収波長の可塑性を最大限に引き出すことで、「虹色」を受容する変異体シリーズを創出することである。具体的には、色素近傍のアミノ酸にランダムな置換変異を導入し、それらの中から紫外から遠赤色までの各光色を受容する変異体の配列を次世代シークエンサーを用いてスクリーニングする。H28年度は、このスクリーニングシステムを確立するため、申請者らが同定した緑・赤色光スイッチ回路(CcaSおよびCcaR)にカナマイシン耐性遺伝子を融合したプラスミドを構築し、薬剤添加培地における大腸菌の生育を光によって制御する技術の開発を行った。プラスミドを導入した大腸菌は、緑と赤のどちらの色の光の下でもカナマイシン耐性能を示した。RT-PCR解析により、CcaSおよびCcaRの遺伝子発現が確認され、光スイッチの導入に成功したことが示された。しかし、カナマイシン耐性遺伝子も両方の色の光の下で発現し、明確な光波長依存的な制御が確認出来なかった。そこで、CcaSおよびCcaR遺伝子を欠失させたプラスミドを構築して大腸菌に導入したところ、カナマイシン耐性の獲得が確認された。これらの結果は、大腸菌内在の転写活性化回路と光スイッチ回路のクロストークが生じた事を示している。現在、内在の転写活性化回路からのシグナルの流入を抑制するため、光スイッチプロモーター配列の改良を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H28年度中に、緑・赤色光照射によって大腸菌の増殖を制御するプラスミドを作製する予定であったが、内在の転写ネットワークとの強いクロストークによって光スイッチ回路の働きが大きく阻害され、完成が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、申請者独自のシアノバクテリアコレクションとゲノム情報を利用し、様々なシアノバクテリア種の緑・赤色光スイッチを検討して、光スイッチ回路のシグナルを増強する。海外のグループも緑・赤色光スイッチ回路を用いた遺伝子発現制御技術の開発を進めており、これらの競合グループの論文を参考に光スイッチプロモーターを改良し、大腸菌内在の転写ネットワークからのシグナルを抑制する。
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