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2015 Fiscal Year Research-status Report

新規手法を用いたショウジョウバエ母性胚性遷移におけるマイクロRNA経路の機能解析

Research Project

Project/Area Number 15K14530
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

中村 輝  熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (90323245)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
KeywordsCRISPR-Cas9 / ショウジョウバエ / ゲノム編集 / 母性-胚性遷移 / マイクロRNA
Outline of Annual Research Achievements

動物発生における母性-胚性遷移(maternal-to-zygotic transition: MZT)は、卵内の母性因子を消去し、胚ゲノムの情報にしたがった発生プログラムへと移行する過程であり、動物種をこえた普遍的現象である。脊椎動物のMZTにおける母性RNAの分解には、miRNA経路が中心的役割を果たす。一方、ショウジョウバエでは、miRNA経路の因子の突然変異は卵形成不全となることから、MZT実行経路の詳細は不明のままである。本研究では、ゲノム編集と新規技術を確立する事により、MZTにおけるmiRNA経路の機能について解析を試みている。
具体的には、CRISPR-Cas9を利用した遺伝子ノックイン手法を用いて、miRNA経路因子にGFPをノックインした。次にGFP融合タンパク質を特異的にユビキチン化して分解に導くNSlmb-vhhGFP4を卵形成過程から転写させつつ、排卵後に翻訳させることの出来るsmaug (smg) 遺伝子のプロモーターと3 'UTRに連結したトランスジェニック系統 (smg-NSlmb-vhhGFP4) を作製した。そして、両者を掛け合わせることにより、標的遺伝子の機能を卵形成過程ではGFP融合タンパク質の状態で維持しつつ、排卵後の胚性遺伝子の活性化が始まる前に分解誘導するシステムを構築した。
現在までに、miRNA経路の遺伝子のうち、Dicer-1 (Dcr-1)とGw182 (Gawky)についてGFPノックイン系統の作製に成功した。これらGFP系統とsmg-NSlmb-vhhGFP4系統との掛け合わせた。その結果、Gw182をノックダウンすると胞胚期前に胚発生が停止することから、Gw182は胚発生初期に必須の機能を持つことが判明した。一方、Dcr-1については、今のところノックダウンによる異常は見られていない。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度は、smg-NSlmb-vhhGFP4が実際に、卵形成過程ではGFP融合タンパク質を分解誘導することなしに、初期胚の胞胚期までに分解を引き起こすことが出来ることを確認した。
次に、GFPノックイン系統の作製については、Dcr-1とGawkyについてはN末端側にGFPがノックインされた系統の作製に成功した。一方、Ago1については、複数の転写・翻訳開始点が存在することから、当初、C末端側にGFPをノックインすることを計画して実験を進めてきた。しかし、既に公表されていたX線構造解析を詳細に検討したところ、C末端のカルボキシ基が、miRNAの認識に必須であり、C末端側配列の付加はAgo1の機能を喪失させることが判明した。このように当初計画していた3つのmiRNA経路因子の内、2つについて作成が完了しているが、Ago1のノックイン系統については、いまだ完了していない。

Strategy for Future Research Activity

前述のようにAgo1には複数の翻訳開始点が存在することから、GFPを複数部位に挿入するか、アイソフォーム間で共通する配列中に挿入する必要がある。構造を詳細に検討することにより、どちらのストラテジーを選択するのかを決定する予定にしている。
また、Dcr-1については、NSlmb-vhhGFP4によるノックダウンでは,初期胚発生における異常が観察されていない。Dcr-1はmiRNAの成熟に必須の機能を持つことを考えると、初期胚でのノックダウンによって異常が生じることが期待される。従って、NSlmb-vhhGFP4が効率的にはDcr-1を分解誘導できていない可能性が考えられる。そこで、NSlmb-vhhGFP4とは別のGFP表面と結合するようなユビキチン化因子を作製することを計画したい。具体的には、vhhGFP4途は別にGFPと特異的に結合することの出来るペプチド配列として、GBP4と3G86.32を選択した。これらをNSlmbと融合させた遺伝子をsmg制御配列化に挿入したトランスジェニック系統を作成する予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2017 2015 Other

All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] The nutrient-responsive hormone CCHamide-2 controls growth by regulating insulin-like peptides in the brain of Drosophila melanogaster.2015

    • Author(s)
      Sano, H., Nakamura, A., Texada, M., Truman, J. W., Ishimoto, H., Kamikouchi, A., Nibu, Y., Kume, K., Ida, T. and Kojima, M.
    • Journal Title

      PLOS Genetics

      Volume: 11 Pages: e1005209

    • DOI

      10.1371/journal.pgen.1005209

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] Efficient endocytic uptake and maturation in Drosophila oocytes requires Dynamitin/p50.2015

    • Author(s)
      Liu, G., Sanghavi, P., Bollinger, K. E., Perry, L., Marshall, B., Roon, P., Tanaka, T., Nakamura, A. and Gonsalvez, G. B.
    • Journal Title

      Genetics

      Volume: 201 Pages: 631-649

    • DOI

      10.1534/genetics.115.180018

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Presentation] ショウジョウバエの小胞型H/Cl交換輸送体Clc-bは長鎖dsRNAを介したRNAi誘導に必要である2017

    • Author(s)
      田中翼、植田忠大、大津佐千子、反町典子、中村輝、Katija Bruckner
    • Organizer
      第17回日本RNA学会年会
    • Place of Presentation
      ホテルライフォート札幌
    • Year and Date
      2017-07-15 – 2915-07-17
  • [Presentation] 新規の遺伝学ツールを用いたショウジョウバエ初期胚におけるRNAサイレンシング因子の機能解析2015

    • Author(s)
      中村 輝
    • Organizer
      第17回日本RNA学会年会
    • Place of Presentation
      ホテルライフォート札幌
    • Year and Date
      2015-07-15 – 2015-07-17
  • [Presentation] The nutrient-responsive hormone CCHamide-2 controls growth by regulating insulin-like peptides in the brain of Drosophila melanogaster.2015

    • Author(s)
      Sano, H., Nakamura, A., Texada, M., Truman, J. W., Ishimoto, H., Kamikouchi, A., Nibu, Y., Kume, K., Ida, T. and Kojima, M.
    • Organizer
      第48回日本発生生物学会年会
    • Place of Presentation
      つくば国際会議場
    • Year and Date
      2015-06-02 – 2015-06-05
    • Int'l Joint Research
  • [Remarks] 熊本大学発生医学研究所 研究室紹介ページ

    • URL

      http://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/bunya_top/germline_development/

URL: 

Published: 2017-01-06  

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