2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K14540
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
五島 剛太 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (20447840)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞内輸送 / 微小管 / ヒメツリガネゴケ / キネシン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度、ヒメツリガネゴケを用いた研究から、クラスター化したVI型キネシン14 (KCBP) が試験管内と細胞内の両方でマイナス端方向へ長距離歩行することを見出し、KCBPがダイニン様の機能を担うモーターではないかと予想した。この仮説を検証するため、パラログが4つ存在するKCBPの完全遺伝子破壊株を樹立し機能解析を行った。KCBPは生育必須遺伝子ではなかったものの、四重遺伝子破壊株では原糸体細胞の成長遅延が認められ、細胞分裂直後の微小管依存的な核輸送や葉緑体配置に異常をきたした。また、KCBPは細胞質全体に分布することに加え、分裂直後には核周縁部に集積し、この時期の微小管極性はKCBPの核輸送方向と一致していた。さらに、配置異常が認められた葉緑体は微小管のプラス端側が配向する細胞先端に集積しており、マイナス端方向への輸送がなくなったため、プラス端側にカーゴが集積するというモデルに一致していた。KCBPにはFERMドメインと呼ばれる膜結合ドメインが存在しており、二つの異なるオルガネラがカーゴとして示唆されたことからも、膜とKCBPが直接結合する可能性が考えられた。そこで、リン脂質からなるリポソームを作製し、KCBPとの結合を調べた結果、酸性脂質特異的にKCBPがリポソームに結合することが示された。これらの結果は、KCBPが植物細胞で複数のカーゴに直接結合し輸送を行う微小管依存的なマイナス端方向性モーターとして機能していることを示唆している。 一方、微小管から新たに生成された短い微小管は一定の頻度で微小管上をマイナス端方向へ輸送されることが当研究室の先行研究によって明らかにされていた。この輸送を担うモーターとして、I型キネシン-14であるATKを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の期待通り「植物のダイニン」の分子をふたつ同定できたため
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Strategy for Future Research Activity |
他のキネシン14モーターに長距離歩行能力があるか、実際に細胞内で何を運んでいるのかを探究する。
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Causes of Carryover |
消耗品にかかる費用を節約できたため未使用額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品購入に使用予定
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Research Products
(6 results)