2015 Fiscal Year Research-status Report
RNA・タンパク質の多分子反応過程を解析する為のRNA相互作用型FRET法の開発
Project/Area Number |
15K14554
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
小保方 潤一 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50185667)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蛍光標識 / FRET / RNA-interacting FRET / 葉緑体RNA編集 / 蛍光アプタマー配列 / CFP / YFP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、RNAとタンパク質の相互作用を、両者に導入した蛍光標識の間で生じる共鳴エネルギー転移(FRET)によって検出・解析する方法を開発し、それを使って、葉緑体RNA編集の素過程で生じるRNA・タンパク質の相互作用を実際に解析することである。上記で開発する方法を、私達は、RNA-interacting FRET法、略してRi-FRET法と名付けた。さて、シロイヌナズナ葉緑体のpsbE遺伝子のRNA編集に関わる主要なタンパク質のうち (a)CP-RNPファミリータンパク質、(b)CREF3、の2種は遺伝子レベルで同定されているが、(c)70kDタンパク質は未同定である。そこで、初年度は、既に遺伝子の情報が得られている(a)と(b)について、Ri-FRET用の蛍光標識タンパク質を形質転換植物体に作らせるための作業を進めた。 具体的には、CREF3のタンパク質のC末端に、青色蛍光標識と黄色蛍光標識としてそれぞれCFPとYFPを導入するための、植物形質転換用コンストラクトを作成した。しかし、コンストラクトの作成などに予想以上の時間がかかり、初年度内に、CREF3-CFPタンパク質とCREF3-YFPタンパク質を植物体から調製するには至らなかった。 上記の組み換えタンパク質が調製できないうちは、in vitro でのRi-FRET試験を進めることが出来ない。一方、Spinachアプタマー配列によるRNAの緑色蛍光標識法について、鉛イオンがその蛍光強度を飛躍的に高めるとの知見が報告された。そこで、蛍光アプタマー配列を含むRNA配列 1μM~10μM、蛍光基質DFHBI 20μMの条件で鉛イオンを加えてRNAの蛍光を測定したところ、100μM以上の鉛イオン濃度で蛍光が著しく増強され、今後のRi-FRET法の開発に応用できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に予定していた「蛍光標識タンパク質を産生する遺伝子組み換え植物」について、その作成が遅れ、それが原因となって、実験の年間計画が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の遅れを挽回するため、2年目は実験のスピードを上げ、当初目標を達成したい。しかし、万が一、それでも初年度の遅れの挽回が難しい場合は、(1)Ri-FRET用に作成・調製する組み換えタンパク質の種類を減らす、(2)キメラタンパク質を調製する手段として、形質転換植物以外にも、大腸菌などによる簡易調製法も検討する、(3)葉緑体RNA編集の素過程解析よりも、Ri-FRET法の開発そのものに研究の重心を移す、などの対応策を検討したい。
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