2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K14555
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
長谷部 光泰 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 教授 (40237996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 隆 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 准教授 (00242024)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オジギソウ / おじぎ運動 / 葉沈 / バイオイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オジギソウ運動器官(葉枕)において運動時に起こる個々の細胞の形態変化を器官レベルで包括的に解明することにより、おじぎ運動のメカニズムを解明することを目的とする。まず、葉枕全体の非侵襲ライブイメージングが可能であるかを検証した。蛍光タンパク質GFPを全細胞で発現するトランスジェニックオジギソウを用い、組織深部の観察能力に優れた二光子励起顕微鏡を利用した葉枕のライブイメージング観察を行った。しかし、オジギソウ葉枕は組織の不透明度が高く、二光子励起顕微鏡を用いても器官内部の観察が困難であった。この問題を克服するために、「急速凍結置換法を用いた運動前後の器官の瞬時固定」および「植物組織の透明化手法を用いた組織深部観察」を組み合わせたアプローチを新たに考案し、そのための条件検討を行った。その結果、スラッシュ窒素を用いた急速凍結、アセトン・グルタールアルデヒド固定液による凍結置換、抱水クロラール・グリセロール溶液を用いた透明化、およびmPS-PI染色法による細胞壁染色の4つを組み合わせて用いることにより、葉枕器官の全域において個々の細胞形態を可視化できるようになった。現在、この手法を用いて運動前後における葉枕の観察・比較を行うとともに、得られた3次元画像から個々の細胞形態をコンピューターを用いて自動抽出・解析する方法の確立を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
オジギソウ運動器官である葉枕の包括的細胞イメージングに関して、二光子励起顕微鏡を用いた生体のライブイメージングを計画していたが、いくつかの実験条件を詳細に検討したが、オジギソウ組織の透明度が予想外に高く、可視化することが困難であった。このため、「研究実績の概要」欄に記載のアプローチを新たに発案し、その遂行に着手したが、この方針変更により新たな実験に関する条件検討が必要となり、研究の進展は当初計画と比べてやや遅れる結果となった。しかし、本年度の研究成果によって大きな技術的困難に関してはすでに克服できているため、今後1年間の延長期間内に成果を論文として発表できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果により確立した観察手法を用い、引き続きオジギソウ葉枕の運動前後における観察・比較を行う。また、得られた3次元画像から個々の細胞形態をコンピューターを用いて自動抽出・解析する方法の確立を行い、得られたデータを包括的・統計的に解析する。以上の実験結果をもとに新規仮説「葉枕がもともと持つ器官・組織レベルでの屈曲力が、オジギソウの速い運動を駆動する」の妥当性を検証する。これらの成果をまとめ、論文として発表を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定した二光子励起顕微鏡による実験がうまくいかず、別な実験方法をいろいろ検討する必要があったため、集中的に研究員を雇用する必要がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験系が確立したので、次年度においては、研究員を雇用し集中的に実験を行う。
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