2015 Fiscal Year Research-status Report
グレリンの脂肪酸修飾機構の研究-中鎖脂肪酸起源の同定-
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15K14557
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
坂田 一郎 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (80610831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 貴文 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40235114)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ghrelin / GOAT / 脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、グレリンの側鎖修飾に利用される中鎖脂肪酸の由来を明らかにすることを目的に、「食餌」、「腸内細菌」、「生体内合成系」に注目して実験を行った。普通食と無脂肪食を3週間与えたマウスにおいて、血漿アシルグレリン濃度と胃粘膜面積あたりのアシルグレリン細胞数を比較した結果、普通食群と無脂肪食群の間に有意な差は認められなかった。また、抗生物質を用いて腸内細菌を除去した結果、通常のマウスと比較して、血中アシルグレリン濃度とアシルグレリン免疫陽性細胞数は変化しなかった。さらに、すい臓由来のグレリン産生細胞株であるPG-1細胞を用いて、脂肪酸合成に関与する酵素を検討したところ、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(Acaca)及び脂肪酸合成酵素(Fasn)mRNAが発現していること、さらに脂肪酸代謝に関与する酵素であるアシル-CoAチオエステラーゼ(Acot)及びカルニチンオクタノイル転移酵素(Crot)mRNAが発現していることを確認した。これらの結果から、食餌や腸内細菌はアシルグレリン産生に影響を与えないことを明らかとし、グレリン側鎖修飾に利用される中鎖脂肪酸を産生する生体内合成系が存在する可能性が示唆された。さらに、生体内での合成系を検討するために、長鎖脂肪酸について着目して検討を行った。β酸化阻害剤をPG-1細胞に添加したところ、アシルグレリン産生が有意に抑制された。以上の結果は、長鎖脂肪酸をβ酸化で分解することによって得られる中鎖脂肪酸をグレリンの側鎖修飾に利用していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
グレリン細胞株を用いた検討は予定の計画以上に進展し、現在in vivoでの検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、in vivoでβ酸化阻害剤を投与したときにグレリン濃度が低下するかを検討し、論文にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
予定していたよりも少ない実験回数で済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に物品費として使用する予定である。
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